【リレー小説】希望と絶望、人類の【第1頁】 (ページ26)

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26.二酸化炭素【アペルピスィア・ツィオーネ/茶々(ピンク)】ページ26

－－拙(まず)い。

先刻湯浴みをしたばかりだというのに、アペルはまた冷や汗を流しそうになっていた。
否、心境的には既に冷や汗どころか気絶レベルで拙いのだが。

－－は、はじめまして。

－－私も自己紹介させて頂きますね。

－－って呼んで下さい！

女子の声しか聞こえない。

修学旅行の宿泊先で間違えてレディースの浴室に入ってしまった並の気不味さがある。いやいや、別に誰も服脱いでないし法に触れるような行為及び後ろめたいようなことはない。

……ないのだが、途轍もなく申し訳ないことをしている気分になる。

彼女らの様子を見る限りバレていない。大丈夫。別に女子みたいなネグリジェを女子に見られるのが嫌とかそういう訳じゃないから。

「－－っ、」

僕は二酸化炭素、僕は二酸化炭素。
言い訳と呪文を同時に脳内で唱えながら足音と気配を消して隅っこから自分の部屋に速やかに戻り扉を勢いよく開けてベッドに飛び込んだ。

(こ、怖かった……)

もし文句をつけられたらどうしようかとヒヤヒヤしていたのだ。扉の開閉音なんて気が気じゃなかったくらい。

「……あ」

二度目の声が零れる。

バレた。でもまあいいや。
自分が誰かはバレてない。其れに、早くゲームがしたいのだ。男子会なんて陽キャラのする行事に参加している場合では無い。

けれど恐らく、やれと言われたら断れないだろうなと諦観の欠伸を浮かべた。