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104.置いていく ページ6

みんなが塀を登った頃。レイはそこまで説明を聞いてから弟達を見渡して、ある違和感を抱いた。

「4歳以下がいない⋯?まさか、」

「考えたの⋯⋯前にもレイに言われたことも、もう一度⋯」


“連れて出りゃ全滅は見えてる”


「連れて行かない」

これがエマが考え抜いて出した結論だ。

「え?」

「4歳以下は農園ここに残す。でも諦めたわけじゃない。今は(・・)連れていかない」

「⋯“今は”?」







──
─────



約一ヶ月前。寝室にエマ、ドン、ギルダの3人が集まっていた。

5歳までは順調に引き入れることができた。
決めるべきは次にどうするか。

4歳以下の子達に話して信じてもらえるのか、ママに隠し通せるのか。年齢が下がれば下がるほどその分リスクは跳ね上がる。
他にも第3(ここ)以外のプラントの子たちはどうするのかという問題もある。自分達と同じような境遇の家族はどうするのか。





「フィルを呼んで」

考えた末にエマはそう言った。
フィルにハウスの真実を話した後、2つの選択肢(みち)で迷っていると伝えた。赤ちゃんまで全員連れ行くか、4歳以下を置いていくか。


上物を育て上げるために将来有望な子供は殺せない。だから満6歳からの出荷なら、どんなに短く見積もっても2年の時間があるということ。

「エマ、それって⋯」


待てる(・・・)よ僕。だから置いてって」

フィルは笑顔でそう言った。




─────
──









「今は連れてかない。でも絶対諦めはしない。フィル以外は何も知らない。ハウスの秘密も、火事のことも。
フィルにだけ話した。あっちはフィルに任せてある」

エマは一泊置いてまた口を開く。


「4歳以下を農園(ここ)に残す⋯でも、2年以内に必ず戻る。そしてその時こそフィル達と、他4つのプラント全ての子供達を連れて出る!
そのために今は置いて行く」

つまり、いずれこの農園をぶっ潰すという事に他ならなかった。

105.ありえない光景→←103.脱獄開始



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ルノチキ(プロフ) - サクラさん» サクラさんコメントいつも本当にありがとうございます!!申し訳ないのですが受験生のため、来年の3月くらいまで一度更新停止させて頂いています。どうか気長にお待ち頂けると幸いです。 (8月30日 17時) (レス) id: 78d43729cf (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - 続きお願いします。 (8月13日 14時) (レス) id: fb2a310b55 (このIDを非表示/違反報告)
ルノチキ(プロフ) - 琥珀さん» 琥珀さんコメントありがとうございます!そんな風に言って貰えてすっごく嬉しいです!!更新再開までお付き合い頂けたら幸いです。 (6月15日 16時) (レス) id: 78d43729cf (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - こんなにも面白い作品をありがとうございます。 (6月13日 4時) (レス) @page11 id: 3f6213cd29 (このIDを非表示/違反報告)
ルノチキ(プロフ) - サクラさん» 毎度この作品を読んでくださりありがとうございます。そう言ってもらえて何よりです! (2023年5月8日 22時) (レス) id: 78d43729cf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ルノチキ | 作成日時:2022年8月22日 17時

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