シャドウサイドストーリー。【裏】

7.改まった卍 ページ7

*



「別の意味？」

「はい。姫がご存知でなければなのですが、一般に地図記号として寺の意味があるらしく。

我々妖怪は寺を極端に嫌いますし、一種の魔除けだと言う説も…」

「え、魔除け？何それスゴい。
ならさ、卍の他に妖怪が嫌う記号ってあるの？」

「それでしたら…！」




「…にゃぁ」


うまくいっている私と彼のコミュニュケーションを遮る様に聞こえた声。

夜の大通りに弱々しく響いた音。

私は不思議そうな眼で。もう一人は憎悪に満ちた眼で、音源らしき場所を見付けようと辺りを見回した

周りに何か居そうな場所と言えば…

…私達は揃って近くの路地裏を見た。


＿＿＿＿＿＿＿


…生臭く、街灯のない真っ暗な路地裏から聞こえてきたその奇妙な声

一年生の頃の私には、こんな場所にづかづかと入り込む勇気は無いに等しかったのだろう

今は何かあったら守ってくれる鬼が後ろにいるし、もし何か事件に関わっているのならみすみす知らんぷりも出来ない

案件に関わるのであれば尚更。後でアキノリに何を言われるかも分からない


「…血の匂いがします。」

「言わないでよ…。まぁ薄々気づいては居たけど…」

「は。すみません…」


再び前を向いて歩き出した時、足に何か柔らかい物がとん。と当たった

さしこむ月明かりで分かった

そこで私が蹴った物は猫の体そのものだと


「ひぃっ…！」


まさかの場合を考えてしまい、思わず二、三歩後ろに退いた。

それと入れ替わる様にハルヤの灰色をした手が伸びて、猫の体を優しく包み込む


「…安心してください、死んではおりません。」


怯えてそこに近付こうとしない私へ。酒呑君はすっと持っていた猫を差し出した

確かに。虫の様ではあるが、微かに体が上下している。体もまだ暖かみがある

…とても苦しそうで、手当てをしないと今にも死んでしまいそうなくらいだが

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