20.虚秒の視線 ページ20
*
「そう言えば…トウマ君、さっきから何を見てるの?」
不意に。トウマの隣に座っていたアヤメちゃんがそう問うた。
さっきから。詳しく言えば、電車に乗る前からなのだけれど、彼はずっと自分のスマフォを見詰めたままだ
吊革に掴まって立っているアキノリの嫉妬の目線など気にもせず、ずっと画面を見続けて、時々指を動かす
「あぁ。これ、実際にあの山に観光に行った人達の呟き。」
「あぁ〜!そう言えば、最近うすらぬらのスマフォ版が出来たんだよね。」
両側にいる女子から一斉に覗き込まれ、注目される姿は、まさにハーレム
ギンガムチェックのアフロ頭の二人が、アキノリと同じ目線を此方に向け始めた。
「うん。でも、あの山って最近はミステリースポットとして有名らしいんだよね。
だから、うすらぬらだけじゃなくてツブヤキッターの方にもかなり情報が転がっていたりするんだ。」
検索画面に拠廟山と入力する
…ざっと見て呟き数は1億件。もはや怖い。
「スゴい…!
……ってことは、けっこう有名なのかな。あんまり聞いたことないけど…」
「まぁ、今のところはネットでしか情報が出回って居ないらしいし。」
「へぇ〜…あっ、でもほら!この人!崎山ケンがツブヤキしてるよ!
んんぅ〜、やっぱカッコいいよね崎山ケン!」
「やっぱり?ナツメちゃんもそう思う〜?」
今まさに咲いている女子トークの内に居ても違和感も持たれない、況してや邪魔者にすら扱われないトウマの姿を、紙袋を持った人達が一斉に睨み付ける
「にしても…つぶやいてるアカウントって、芸能人の人達の物が多いんだね。」
ナツメが崎山ケンの下に並ぶ他のツブヤキを指差した
「ほんとだね…。どうしてかな?」
アヤメがその疑問を口にした瞬間。今まで空気の様な存在感で目の前に立っていたアキノリが目を光らせた
ふっくらとした顔ににやにやとした笑みを浮かべながら、袴の袖内からスマフォを取り出す
「アヤメさん、これ見てよ。」
画面上に開かれていたホームページは、拠廟山のレビュー記事だった
「なになに。『僕がこの山に来た理由…それは__僕の動画の再生回数を上げる為ですぅ…?』」
「あぁ。どうもあの山。芸の聖地と呼ばれているらしくてな。」
「芸の聖地?」
動画クリエイトと芸の共通点は少なくないか
「あぁ。江戸時代に、動物を使った芸をする人間達が此処によく出入りしてたらしいんだ。
どうやら、山の奥深く(立ち入り禁止区域)の方は小さな祠があるらしい。
んで、そこにはざっくりこう書かれて有るそうだ
えーっと…」
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名無しのダレカ - 紅白巫女w (2020年4月22日 19時) (レス) id: 6bf8819783 (このIDを非表示/違反報告)
#チョコラーメン - 寝高麗☆トラジローさん» コメントありがとうございます、ご指摘いただいた件ですが、改めて調べてみたところ、さくら元町の所在は東京との事でした。人の間違いを指摘できる立場でもないのに…申し訳ございません。また何か小説内での誤字や誤植がございましたらご指摘頂けると幸いです。 (2019年5月26日 19時) (レス) id: d51802be4f (このIDを非表示/違反報告)
寝高麗☆トラジロー - あれ?妖怪ウォッチの舞台って《東京》じゃなくて《九州》じゃなかったでしたっけ? (2019年5月26日 18時) (携帯から) (レス) id: e5ef8f5494 (このIDを非表示/違反報告)
#チョコラーメン - 雪葉さん» コメントと閲覧ありがとうございます、そして返信が遅れてしまい誠に申し訳ございません…。雪葉様から頂いた「!」マークを気力にして頑張って行きたいと思っていますので、今後ともこの小説を宜しくお願い致します (2019年3月10日 16時) (レス) id: 5d2ed15dfa (このIDを非表示/違反報告)
雪葉 - 更新楽しみにしています!頑張ってください! (2019年3月3日 17時) (レス) id: 3c70fe5d70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:#チョコラーメン | 作成日時:2019年3月2日 22時