17.判定不可の肯定 ページ17
*
鏡を見ながら自分の顔へ懸命に絆創膏を貼るアキノリの横で、彼の今のこの行動の現況である猫は舌で上品そうに毛並みを整えていた
つぎにその柔らかそうな手で自分の耳を撫でて、「ごろにゃぁ〜ん…。」といかにも眠そうなのが分かる声を発した
「あー、大丈夫?アキノリ。」
「まぁ…一応はな。そんなことより!」
アキノリはその傷と絆創膏だらけの顔を向かい側に座っていた私へぐいっ。と近付けた
トウマの体がぴくりと動く
「ッ〜!…なんで俺を皆揃ってブロックしたんだよ!」
本人に自覚が無いならもうおしまいじゃないか。
「で、でもアキノリ…、例えドッキリだとしてもこれはないでしょ…。」
「これってどれだよ。」
「あの写真とメッセージ。」
「なんの?」
「…これ。」
スクリーンショットしておいた画面を彼に突き出す
しかしアキノリは不思議そうに首をかしげたきりで、それ以外に何も反応を見せようとしなかった。
「なんだ。これ。」
「…え?」
「俺はグループにこんなの送った覚えねーよ。」
「でも履歴が…」
まだ彼の言い分に半信半疑のままアプリを起動し、グループのやり取りを昨日まで戻す
「って…あれ?」
「どうしたの?ナツメちゃん。」
「アキノリの発信したメッセージだけ消えてる…!」
「「えっ?!」」
その一言を切っ掛けに、皆が一斉に私のスマフォの画面を覗き込んだ
「…本当だ。僕たちのやり取りだけが残されてる…」
「なんか怖いね…。」
普段表情をなかなか顔に出さないトウマが驚いた表情をするの言うことはそれほどに驚かなければいけない事態らしい
アヤメちゃんはいつも通り可愛い。
「んでも…そうだな。確かに話が支離滅裂で繋がんないところがすんげぇあるし。当人である俺の記憶に覚えもない…
事件の臭いがするなぁ。これは…!」
先程まで不幸が続いて沈んでいたアキノリの顔がぱぁっと明るくなり、目をキラキラと光らせる
私たちはまるで磁石の様である。
「本当に送った覚え無いの?」
「あったりまえだろ?テスト前なのにそんなことするか?」
「あぁ、そっか。アキノリ君の学校はこの前に学期末テストがあったものね。」
「そうなんですよ〜アヤメさ〜ん。全くもう勉強が大変で大変で…」
…机の半開きになった引き出しの隙間から見えた12点と言う数字はどうも無視した方が良さそうだ。
12人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無しのダレカ - 紅白巫女w (2020年4月22日 19時) (レス) id: 6bf8819783 (このIDを非表示/違反報告)
#チョコラーメン - 寝高麗☆トラジローさん» コメントありがとうございます、ご指摘いただいた件ですが、改めて調べてみたところ、さくら元町の所在は東京との事でした。人の間違いを指摘できる立場でもないのに…申し訳ございません。また何か小説内での誤字や誤植がございましたらご指摘頂けると幸いです。 (2019年5月26日 19時) (レス) id: d51802be4f (このIDを非表示/違反報告)
寝高麗☆トラジロー - あれ?妖怪ウォッチの舞台って《東京》じゃなくて《九州》じゃなかったでしたっけ? (2019年5月26日 18時) (携帯から) (レス) id: e5ef8f5494 (このIDを非表示/違反報告)
#チョコラーメン - 雪葉さん» コメントと閲覧ありがとうございます、そして返信が遅れてしまい誠に申し訳ございません…。雪葉様から頂いた「!」マークを気力にして頑張って行きたいと思っていますので、今後ともこの小説を宜しくお願い致します (2019年3月10日 16時) (レス) id: 5d2ed15dfa (このIDを非表示/違反報告)
雪葉 - 更新楽しみにしています!頑張ってください! (2019年3月3日 17時) (レス) id: 3c70fe5d70 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:#チョコラーメン | 作成日時:2019年3月2日 22時