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30話 ページ30

「ねえ聞いてちょうだい!
クラークさんとこの子、占いやってるじゃない?私半信半疑で行ってみたんだけど、おかげでウチの畑が枯れずに済んだの!」

「あなたも行ったのね!私なんて儲かっちゃったのよ……旦那には内緒ね!」


外は少し肌寒いにも関わらず、数人の婦人達の笑い声が聞こえてくる。

いいや、それだけではない。

この頃、廃れかけていた村は、外からの客や商人たちで賑わいを見せていた。


「最近村の景気もいいし、色んなものが買えるようになったし……あの子のおかげね。えぇっと、名前なんて言ったかしら」

「最初は気味が悪かったけど、今じゃこの村に必要不可欠ね。あの子の力は」

「クラークさんも鼻が高いでしょうね」




いつ何の物価が上昇するか。

自然災害の予測。

気になるあの人との恋の行方。


頼まれたことの全てを、この目で見てきた。

いつしか評判は村の外へも広がり、占いをしてもらうためにわざわざ遠くから足を運ぶ人も多い。
むしろ今は外からの客がほとんとだ。

村が活気づいてきた頃、両親も自分のことを認め、信頼を取り戻すことが出来た。


だけど


「イライ今平気?人多いから裏口から入ってきちゃったよ」


忙しくてお昼とれてないでしょう?と、Aはわざわざサンドイッチを作って来てくれた。


「ちょっとまたあなたなの?お昼ならちゃんとこっちで用意するわ。ウチの子はあなたみたいに暇人じゃないのよ」


いつの日か、僕を本当に自分の子かと疑っていた母が口を出した。

ガッチリと肩を捕まれ、言い聞かせるように言われる。

「イライ、この家は……この村の未来はあなたにかかっているのよ。ガールフレンドなんてつくっている暇はないの」


嗚呼、母はこんな人じゃなかったのに。






────だけど



みんなが必要としているのは、"力"だけ。

誰だっていいんだ。


「……すみません、失礼しますね」


イライ・クラークを本当に必要としてくれているのは彼女だけ。



"よるに、またくるね"



口パクでそう残してから店を去った、彼女だけ。

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えるみ(プロフ) - あねもさん» 閲覧ありがとうございます!花言葉についてはあえて触れなかったのですが、分かってくれる方がいて嬉しいです……! (2019年9月22日 16時) (レス) id: 58f336f1ac (このIDを非表示/違反報告)
あねも(プロフ) - とてもおもしろかったです!最後に出てきた紫色のアネモネは、あなたを信じて待つという意味ですか?私自身、紫色のアネモネがとても好きなので嬉しくて思わずコメントしてしまいました!完結、お疲れ様でした! (2019年9月22日 4時) (レス) id: 8c1c97f69f (このIDを非表示/違反報告)
えるみ(プロフ) - *まめ丸*さん» 感動してもらえたなんて嬉しいです.......!またいつか新作作った時はよろしくお願いしますね!ありがとうございました! (2019年8月15日 11時) (レス) id: 24de3ea6a1 (このIDを非表示/違反報告)
えるみ(プロフ) - カゲロウ(白ヰ迷ヰ戌)さん» 完結させられて良かったです!閲覧ありがとうございました! (2019年8月15日 11時) (レス) id: 24de3ea6a1 (このIDを非表示/違反報告)
*まめ丸*(プロフ) - 完結おめでとうございます!!すごくよかったです!感動しました!!えるみさんと出会えてとても幸せでした!!そしてお疲れ様でした!!えるみさんの素敵な作品いつまでも待っています!!えるみさんや作品大好きです!!えるみさんの幸せを願って。また会える日まで!! (2019年8月14日 21時) (レス) id: 7b0adad536 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:えるみ | 作成日時:2019年7月13日 17時

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