【第五人格】婚約者は後を追って

25話 ページ25

声にならない悲鳴を上げて崩れ落ちた彼女を支え、ゆっくりと壁にもたれ掛かるように座らせる。


写真世界で与えたダメージを半分にして現実のサバイバーに与える。
それが今回のハンター写真家こと｢ジョゼフ｣の能力。

写真世界でロケットチェアに縛られたAは、その崩壊と同時に二回分の攻撃を受けたことになりダウンしてしまったのだ。



｢すまない。事前にちゃんと教えていれば、君がこんな痛いすることはなかったのに｣


苦痛に歪んだ顔に血を流し、細く息をする彼女。

写真家は他のハンターの1.5倍の攻撃力を持っている。
それが二回分。つまり通常の3倍の痛みを一瞬にして味わうことになる。


自分も何度もやられたことがあるから、辛さが分かった。

こんな思い、彼女にして欲しくなかった。

自分に力があったら、今すぐにでもヤツを殴りに行くだろう。



やるせない気持ちを抑え、素早く手当を済ませた。


｢……ありがとう。ビックリした｣


治療が終わり立ち上がった彼女は、平気そうに振舞ってはいるが不安が隠しきれていない。

震える小さな手をそっと包み込んだ。


写真世界崩壊の直前にトレイシーが暗号機を一台終わらせてくれていたため、残りは四台。

幸いにも、今回のメンバーにはエミリーがいる。

対写真家戦で医師がいるのはとても大きいのだ。




｢大丈夫。きっと……絶対に勝てるよ｣


顔を見合わせ頷いた後、それぞれ別の暗号機へ向けて走り出した。

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