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21話 ページ21

「……A、僕はもう行かなくちゃ。昼のゲームがあるんだ」


ずっとこうして頭を撫でてあげていたい。
苦しくて眠れもしない彼女を置いていくなんて。


「…………気をつけて、ね」


寂しそうな顔をして、弱々しく手を握られた。

僕が君の帰りを待っている時どんな気でいたか、少しはわかってくれるだろうか。


「ねぇイライ、顔……見せて。それ取って」



天眼が常時発動しすぎないように付けている布。それのせいで彼女は僕の目をずっと見ていない。

でも、今はまだ取る勇気がない。




もし、見たくもない残酷な未来が見えてしまったら。

僕はどうしたら良いのだろうか。



「………イライ?」


彼女はきっと、そのうちここから出られると思っている。

でもそれは間違いだ。
この荘園に希望なんてない。

何度ゲームから脱出しても、荘園から脱出するすべを誰も知らない。

きっと一生ここで玩具になるか、そのうち殺されるか。




「何か、隠してるの……?」


隠してる?それは────






「…………君の方じゃ、ないのか」


初日にエミリーが見つけた、身体中にある痣。
それがついた理由をまだ教えて貰っていない。

正確には、ずっと誤魔化され続けている。

ただ僕に会いに荘園に来たのではない。
何かあったのだと、それくらいは気づいていた。




「………なんでもないよ。行ってくる」


額に口づけを落とし、部屋を後にした。




その後、静かな部屋に小さく泣き声が響いていたのを、僕は知らない。

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えるみ(プロフ) - あねもさん» 閲覧ありがとうございます!花言葉についてはあえて触れなかったのですが、分かってくれる方がいて嬉しいです……! (2019年9月22日 16時) (レス) id: 58f336f1ac (このIDを非表示/違反報告)
あねも(プロフ) - とてもおもしろかったです!最後に出てきた紫色のアネモネは、あなたを信じて待つという意味ですか?私自身、紫色のアネモネがとても好きなので嬉しくて思わずコメントしてしまいました!完結、お疲れ様でした! (2019年9月22日 4時) (レス) id: 8c1c97f69f (このIDを非表示/違反報告)
えるみ(プロフ) - *まめ丸*さん» 感動してもらえたなんて嬉しいです.......!またいつか新作作った時はよろしくお願いしますね!ありがとうございました! (2019年8月15日 11時) (レス) id: 24de3ea6a1 (このIDを非表示/違反報告)
えるみ(プロフ) - カゲロウ(白ヰ迷ヰ戌)さん» 完結させられて良かったです!閲覧ありがとうございました! (2019年8月15日 11時) (レス) id: 24de3ea6a1 (このIDを非表示/違反報告)
*まめ丸*(プロフ) - 完結おめでとうございます!!すごくよかったです!感動しました!!えるみさんと出会えてとても幸せでした!!そしてお疲れ様でした!!えるみさんの素敵な作品いつまでも待っています!!えるみさんや作品大好きです!!えるみさんの幸せを願って。また会える日まで!! (2019年8月14日 21時) (レス) id: 7b0adad536 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:えるみ | 作成日時:2019年7月13日 17時

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