【第五人格】婚約者は後を追って

17話 ページ17

｢A｣


私の名を呼ぶ彼の声を求めて、ここへやって来た。


｢今夜は冷えるね｣


彼のぬくもりを求めて村を出た。


｢必ず戻ってくるからね。君もここで待っていてくれ。
約束しよう｣


約束を破ってまで彼を追いかけた。


そうするか、死んでしまうかの二択だった。


約束を破った代償を私は払わなければいけない。


この恐怖のゲームに参加することで。









｢マーサさん！！｣


目の前で橙色の軍服が赤と飛び散るのを見て、思わず声をあげてしまった。

どこか可愛い顔をした白い仮面がこちらを向く。

最初の暗号機の解読が終わり次を探していた時、チェイス中のマーサの元へ来てしまったのだ。



｢おや、こんなところにも子ネズミが。
一発与えておきますか｣


鼓動がドクドクと早くなる。


｢離れてっA……！！｣


苦しそうに叫ぶ声でようやく足を動かした時、真横で空気の切れる音がした。


逃げなきゃ、あんなの当たったら死ぬ。

雪に足をとられながら、障害物の周りを這うようにして走る。


｢見ない顔ですね……見かけによらずすばしっこいようだ。……おや｣


ハンターがこちらの相手をしている間にマーサが回復を受けて立ち上がったらしい。

仮面の男は小さく舌打ちをした後、再びこちらに刃を構えて大きく振りかぶった。




どうしてそんな離れたところで？

そう思っていると、何か、白い霧のようなものが向かってくる。

ああ、当たる。



その時目の前に、緑のフードが飛び出してきた。



｢ぐっあ……！｣


｢ナワーブさんっ……！？｣


彼の赤い血が白い雪に飛び散った。
私を庇ったのだ。


｢ど、しよう……怪我……｣


｢走れ！！！！｣


強く背中を押し出され、勢いのまま建物の方へ駆ける。





そしてそこにいたマーサと合流できた時、ナワーブが二発目の攻撃を受けたことが知らされた。





残り暗号機は二つ。

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