【NARUTO】共に生きる11【はたけカカシ】

第370話 ページ21

良い匂いがする。優しい、少し石鹸に似た匂い。




私の、今一番大好きな匂い。




「.....A」




声が聞こえた。柔らかくて優しくて、私を安心させてくれる声。




私の、今一番大好きな声。





「...違う。そうじゃない。お前の進む道はそっちじゃない」





暖かい。お日様みたいに暖かくて、冬なんて平気で越せちゃいそう。





私の、今一番大好きな温もり。






「お前はいつもそうやって道を間違えるからな。とんだ方向音痴で困ったもんだよ。...でもまあそれでもいいさ」






赤い血が流れる。真っ赤で鉄の匂いがする、これを見るのは大嫌いだった。






私が、今一番見たくない血。






「少なくともオレはお前よりかは道に詳しいからな...だからこれからは、オレが一緒に歩いてやるよ。





なあA、帰ったら一緒にどこか散歩にでも行こう。





いろんなところに寄り道して、帰りが遅くなったら焼肉でも食べて帰ろうか。





お前の好きな肉いっぱい焼いてやる。なんならアイスも付けてお前の体重困らせてやる。





そしたら帰って、一緒に歌を歌おう。こう見えてオレ、結構歌には自身あるんだぞ。Aの好きな歌でいい。









...だからさ、A









一緒に帰ろう」









『...........っ









...........うん.....っ』









「オレと、一緒に生きよう」









溢れ返った涙が、大きな君の手を濡らした。

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