【イナイレシリーズ】one day【短編集】 (ページ4)

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青いバカンス【アルファ】1/2 ページ4

拙作『Time will tell.』の番外編としてもお読みいただけます。

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　ラグナロクの事後処理やエルドラド本部の再建などを終えると、私たちルートエージェントは本部から慰安旅行をプレゼントされた。行き先は「この世の楽園」と謳われるリゾート地である。
　私たちを出迎えたのは鮮やかな青空と、一秒でも黙ったら死ぬのかと思うほどのマシンガントークを繰り広げる現地ガイドであった。

　トップガンよろしく浜辺でひとしきり遊び、そのあとバーベキューディナーをたらふく食べた。朝から動いて疲れ果てているはずなのに、すぐに寝るのはもったいない気がして、私はテラスへ向かった。部屋に個別についているテラスではなく、ホテルに泊まっている人なら誰でも出入りできる、大きなテラスのほうだ。

　テラスには、何人か人がいた。まだ真夜中というには早い時間だ。お酒を持った大人もいれば、私と同い年ぐらいの人もいて、ゆったりとした時間を楽しんでいた。

　日が落ちると、海と空の境目が曖昧だ。月明かりでできた一本道が、唯一海の存在を知らせてくれる。

「アルファ」

　先客の中に見つけた彼は、私の声にこちらを振り返った。薄いシャツ姿が見慣れなくて、私は意味もなく肩をほぐしながら、彼の隣に立った。

「まだ寝てなかったんだ」
「ああ」

　テラスの柵にもたれかかると、ウェイターがグラスの乗ったトレーをこちらに差し出してきた。

「ソフトドリンクです」
「ありがとうございます」

　そういえば、アルファも飾り切りしたオレンジが飾られたグラスを持っている。私は一口サイズのパインがグラスに差し込んであるグラスを選んだ。パインそのままの誠実な味がする。

「マスターも贅沢だよねえ。エルドラドも、これからお金かかりそうなのに」
「そうだな」

　アルファは、私の言っていることがわかっているのだがわかっていないのだかがよくわからない表情で相槌を打った。