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『ウィル、あなたなのね』
確信めいたその声色にシリウスはピクリと肩を跳ねさせた
この子は一体どうして目が見えないのにこうも人の気配に敏感なのか
『ウィルじゃなかったとしても、私には見えないの』
涙で詰まった鼻声にシリウスはグッと唇の裏を噛んだ
ここまで苦しめたのは自分のせいだ
彼女は目が見えないことを誰かに悲観的に話すことはしなかった
いつも素直で純粋で、それでいて目が見えなくても美しい世界を見ているかのようにキラキラと楽しそうだった
シリウスは彼女のそんなところに惹かれたのだ
目の前に座って泣いているAはこれまで一体どれほどの辛さや苦しみを笑顔の裏に隠してきたのだろうか
一体どれほど心の中で泣いたのだろう
彼女は自分たちと違って見えないというハンデを持っている
それなのにさらに身内に騙され続けていては気が滅入るのも当然なのだ
シリウスは自分の愚かさに嫌気がさした
『目が見えないなんて嫌、あなたの事を見たい。他の人を見たい。リリーを、ジェームズを。どんな人達なのか知りたい。色とりどりな世界を見ているあなた達が心底羨ましい』
大粒の涙を流しながらそう訴えるAにシリウスは堪らず強く抱きしめた
｢ごめん。本当にごめん｣
ずっと騙していて、ずっと言えなくて
ずっと君の好意を利用していて
『どうしてあなたが謝るのよ、ウィル』
Aは泣きながらシリウスの肩に顔を埋め、シリウスは悲しそうに顔を歪めた
『これは私のただの嫉妬よ』
シリウスは首を振る
強い否定だ
｢俺はAの言う通り、ウィリアム・テイラーっていう名前なんかじゃない。シリウス・ブラックは君を嫌ってなんかいない。むしろ……嫌われるのが怖くて、何も言えなかったんだ｣
シリウスは今まで言えなかった想いを吐露する
Aが不思議そうに顔を上げた
｢俺は……俺が、シリウス・ブラックなんだ｣
そうしてシリウスはようやく自分の正体を明かしたのだった
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サンマ(プロフ) - ボガリズエッドさん» こちらこそありがとうございます！感動していただけて良かったです！ (2023年3月13日 9時) (
レス) id: e98e7ad213 (このIDを非表示/違反報告)
ボガリズエッド(プロフ) - 素敵な作品に出会わせていただき、ありがとうございます！！最初から一気読みしました。こんなにも納得できて全員幸せなお話感動しないわけが無く、ただいま余韻に浸っています。最高です！！ (2023年3月12日 22時) (レス) @page38 id: f1342d7e58 (このIDを非表示/違反報告)
サンマ(プロフ) - 七志さん» こちらこそお読みいただいて、ありがとうございます！この作品のシリウスはかなりかっこよく作ったつもりだったのでそう言っていただけて嬉しいです！！ (2023年3月9日 18時) (レス) id: e98e7ad213 (このIDを非表示/違反報告)
七志(プロフ) - 【１】から一気読みしてしまいました…！！文章の作りや言葉が綺麗で読みやすく、イチャイチャにきゅんきゅんして、ハッピーエンドでとても面白かったです！ シリウスかっこいい！最高です！ありがとうございました！ (2023年3月9日 11時) (レス) @page38 id: 83eeb09375 (このIDを非表示/違反報告)
サンマ(プロフ) - 柊木さん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます！こちらこそ読んでくれてありがとうございました！ (2023年1月4日 15時) (レス) id: e98e7ad213 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サンマ | 作成日時：2022年12月1日 13時
