47 not Fantome ページ47
_
長尾「っていうか、今日は謙杜って呼んでくれへんねや」
「…んー、なんの話…？」
長尾「昨日は謙杜って呼んでくれたのになぁ？ やっぱ恥ずかしくなってもうた？」
いつもより大人っぽい長尾はそう言って、布団とシーツの間に手を差し込んだ。
それから、流れるような手つきで私の腰骨を撫でていく。
そうされて初めて、私は下着しか身に付けていないことに気が付いた。
長尾「顔、真っ赤やで」
「……うるさい」
長尾「まぁ、ツンなAも可愛いからええけど」
「…………ほんま、やめて…」
私は消え入りそうな声でそう答えてから、頭から布団を被った。
今度は長尾に止められへんかったから、布団の中で安心しとったのに——
長尾「……起きひんってことは、悪戯してもいいってことやんな？」
布団越しに聴こえるくもぐった声は少し低くて、凄く甘ったるくて、脳が痺れてしまいそうになる。
挑発みたいな長尾の言葉にどう返していいか分からんくて、芋虫みたいに布団から目だけ出すと——
視界に映ったのは、寝癖のついた長尾やった。
覚醒した声のわりに、目元はまだ少し腫れとる。
長尾の顔が近づいて、おでこをコツンと当てられる。
鼻先同士が触れ合って、なんだかくすぐったい。
長尾「起きひん？」
「……おきるー………」
長尾「まだ起きんでええのに」
起こしてきたくせになんやねん、って思って口を開きかけると、その唇が塞がれる。
寝起きは嫌やって何回言うたら分かんねん、
そう思ってるはずやのに本気で拒否できない私は、きっと出会った頃から変わらない。
長尾ならええかって、たぶんずっと負け続けてる。
長尾「——悪戯、させてほしいから。まだ起きんといて？」
Fin.
終わり
ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)
←46 not Fantome
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 452人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ももか(プロフ) - 丁寧な言葉選びですっごく好きな作品でした！作者様の描く長尾が最高に好きでした。また素敵な作品楽しみにしてます！更新お疲れ様でした！！ (2022年7月19日 0時) (
レス) @page47 id: c5caa37a1a (このIDを非表示/違反報告)
。 - 星屑に触れたなら 本当にいい作品です。いつも更新ありがとうございました。 (2022年7月18日 17時) (レス) @page47 id: 5aa31afc0d (このIDを非表示/違反報告)
mちゃ(プロフ) - 神作 (2022年7月18日 15時) (レス) id: e046c287bb (このIDを非表示/違反報告)
yukie aaa(プロフ) - 言葉がキレイで、、読んでいて本当に引き込まれます！！ (2022年7月16日 17時) (レス) @page44 id: 5c463d3147 (このIDを非表示/違反報告)
縮人(プロフ) - わ〜丈くん(泣)かっこよすぎて泣けます(泣) (2022年7月13日 0時) (レス) @page39 id: 3fa571b52c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雨野 | 作成日時：2022年6月9日 19時
