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「お茶です」

「ああ…ありがとう
ごめんね本当に、お父さん頭突いちゃって…」

『私も失礼なこといっぱいいちゃってごめんなさい…』

「いえ、目を覚ましたらお酒をお買いに出かけて行ったので大丈夫です。
…それに、嬉しかったんです。」


思いがけない言葉に驚いて顔を上げれば、千寿郎くんは優しい笑顔でこう言った。


「すっきりしたんです。兄を悪く言われても、僕は父に口答えすらできなかった。
…だから、僕の代わりに怒ってくれた気がして、嬉しかったんです」

「無限列車の任務について、聞かせていただけませんか?
…兄の最後の任務を、僕も知りたい」


断る理由なんてあるはずもなく、ぽつぽつと話し始めた。
列車で合流した時のこと、妙な血気術で眠らされたこと、杏寿郎の的確な指示で、誰も死ななかったこと。…そして、上弦の参、猗窩座のこと。


「そうですか…兄は、立派に任務を成し遂げたんですね…」

『ごめんね、守り切れなくて…』

「そんなことありません、生きていることが何よりの証拠です。
…父がよく見ていた書物には心当たりがあります。持ってきますので少々お待ちください。」


そう言って席を立ち、戻ってきた千寿郎くんの手には、古い書物があった。
これです、と差し出された書物を3人で覗き込む。


「こっ…これは…」


それは、ずたずたに引き裂かれて、ほとんど読むことができない状態だった。
聞けば、おそらくお父さん__槇寿郎さんの手によるもののようだった。


「申し訳ありません」

「いいえ、千寿郎さんのせいではないです。どうか気になさらず」

「わざわざ足を運んでいただいたのに、"ヒノカミ神楽"や父の言っていた"日の呼吸"について結局何も…」

『大丈夫、私たちがやるべきことは分かってる。
…もっと鍛錬する、それだけだよ』

「Aの言う通りです。
舞の手順を知っている"ヒノカミ神楽"ですら、俺は使いこなせていないんです」

「技に体が追いついていない。
常中ができれば、日一日と体力が上昇してゆくとのことだったけど、一瞬で強くはなれないんです」

「…あの時俺がもっと強かったら。
一瞬で…煉獄さんを助けられるくらい強くなれる方法があったら…」

「だけどそんな都合のいい方法はない。
近道なんてなかった」


そうか、お兄ちゃんも同じだったんだ。

どんなに苦しくても悔しくても、足掻いて、藻掻いて、今の自分の精一杯前に進むしかできない。


だからなるんだ。


「杏寿郎さんのような強い柱に」


「必ずなります」


杏寿郎のような柱に。



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澪凪(プロフ) - *なのはな*♪さん» なのはなさんはじめまして!コメ返遅くなってしまってすみません(汗)面白いと言って頂けて嬉しいです!!更新速度も不安定になってしまいましたが、無限列車編はこれで完結になります。準備が出来次第、遊郭編も公開していきますのでどうぞよろしくお願いします! (2022年5月2日 10時) (レス) id: 096e1d75b4 (このIDを非表示/違反報告)
*なのはな*♪ - 最近読み始めたのですが、すっごく面白かったです!これからも頑張ってください!お忙しいはずなのに、丁寧にコメ返されていて尊敬です……! (2022年4月14日 21時) (レス) @page48 id: c5d24dd7d0 (このIDを非表示/違反報告)
澪凪(プロフ) - かわあいさん» かわあいさんありがとうございます!いい作品だなんて照れます…笑 これからもどうぞよろしくお願いします!! (2022年2月19日 22時) (レス) id: fd89498da8 (このIDを非表示/違反報告)
かわあい - 今日見始めました!とてもいい作品ですね!次回の更新もお待ちしてます!! (2022年2月18日 2時) (レス) @page44 id: 173f9610a3 (このIDを非表示/違反報告)
澪凪(プロフ) - メロン♪さん» ありがとうございます!読みに行かせてもらいますね! (2021年11月21日 11時) (レス) id: bec4918ee4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:澪凪 | 作者ホームページ:ありません  
作成日時:2021年4月10日 16時

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