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奇跡 ページ40




『お、かあ…さん…』


「Aっ!」


全身が焼け付くように痛い。
体がうまく動かない。


『しのぶ…?』


「よかったっ目を覚ましたのね…!!」


首だけを動かして周りを見れば、しのぶだけではなく杏寿郎やお兄ちゃん、善逸、伊之助、アオイたち。
大勢が私を囲んでいる。


『なんでみんな、いるの…?』


上弦の参に逃げられちゃったから怒ってるのかな。


『ごめん、ごめんなさい、逃げられちゃった、倒せなかった…私の、せい…私が、よわいから…』


そうだ、私が悪いの。
呪いのようにその言葉がぐるぐると頭の中を駆け巡る。
気持ちが悪い。苦しい。
私が悪いんだから、これくらい当然のことだ。柱なんだから、これくらい耐えなきゃ。


「それは違うな」


ふと、優しい声がした。


「今、俺がここにいられるのは誰のおかげだと思う?」


ただただ、包み込むような、温かくて優しい声だった。


「もしあの時、Aが俺を助けなければ、俺は間違いなく死んでいただろう。
元より、俺はあの場で死ぬつもりだった。上弦の参相手に生きて帰れるとは思っていなかった。」


ふわり、と大きな手が私の頭をそっと撫でる。


「A、確かに君は柱だ。それは変えようのない事実だろう。
しかし、それ以前に俺たちは人間なんだ。できないことだってある。
上弦の参は確かに取り逃がしてしまったが、あそこまで追い詰められたのは、今俺たちがこうしてここにいられるのは、乗客が全員生きていたのは、A。君のおかげなんだ。」


助けようとするのは当たり前。杏寿郎が柱だからとかではなくて、ただ、生きていてほしかったから。
もう、失って傷つきたくないし、傷つく人の顔も見るのは嫌だった。
でも、だからといって取り逃がした事には変わらない。
あの時あいつを倒せていたら、あいつのせいで被害に合う人が減っていたはずだった。
そう思ってしまえばどんどん自分を責めていく。


「そして、確かに君は鬼殺隊における重要な戦力であり、柱だ。
だからといって、そんなに我慢する必要はないんだ。時に弱音を吐いたり、助けを求めることも大切だぞ。」


そんなこと、していいのかな。
気が緩んじゃうよ、そんなことしたら私はずっと後ろを向いたままになって、逃げちゃうよ。




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澪凪(プロフ) - *なのはな*♪さん» なのはなさんはじめまして!コメ返遅くなってしまってすみません(汗)面白いと言って頂けて嬉しいです!!更新速度も不安定になってしまいましたが、無限列車編はこれで完結になります。準備が出来次第、遊郭編も公開していきますのでどうぞよろしくお願いします! (2022年5月2日 10時) (レス) id: 096e1d75b4 (このIDを非表示/違反報告)
*なのはな*♪ - 最近読み始めたのですが、すっごく面白かったです!これからも頑張ってください!お忙しいはずなのに、丁寧にコメ返されていて尊敬です……! (2022年4月14日 21時) (レス) @page48 id: c5d24dd7d0 (このIDを非表示/違反報告)
澪凪(プロフ) - かわあいさん» かわあいさんありがとうございます!いい作品だなんて照れます…笑 これからもどうぞよろしくお願いします!! (2022年2月19日 22時) (レス) id: fd89498da8 (このIDを非表示/違反報告)
かわあい - 今日見始めました!とてもいい作品ですね!次回の更新もお待ちしてます!! (2022年2月18日 2時) (レス) @page44 id: 173f9610a3 (このIDを非表示/違反報告)
澪凪(プロフ) - メロン♪さん» ありがとうございます!読みに行かせてもらいますね! (2021年11月21日 11時) (レス) id: bec4918ee4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:澪凪 | 作者ホームページ:ありません  
作成日時:2021年4月10日 16時

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