bar big bearへようこそ！2 (ページ47)

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おおくらの思いページ47

俺はこの言葉を聞いて、嬉しさが込み上げてきた。

やって良かった。

この店を、この場所を作ってほんまに良かった。

あの高３の夏休み、

マスターと出会って無かったら、

barでのアルバイトをしていなかったら

あの経験をしていなかったら

俺はまだ、ぐーたらな生活をしていたのかも
しれない。

それぐらい刺激的な出来事やった。

大人って、もっと自由で好きな事できて、楽しいものだと、思っていた。

早く大人になりたい。

そう思っていた。

だけど俺が見た大人の世界は

そんな俺の考えてた世界とは、かけ離れていた。

世間に押しつぶされないように、自分というものを必死に守り続けているように、

そう見えた。

仕事で疲れ果てて、店にやって来る人達。

そんな時、マスターは静かにお酒を作る。

ぼぉっとする人、本を読む人、静かに店に流れる音楽を聴く人。

ある日、俺はマスターに聞いてみた。

「疲れてるのに、家に帰らないんですか？

家でのほうが、のんびり出来ると思うんだけどなぁ。」

「そう思うか？」

マスターはそう言いながら笑った。

「大人になった時にわかってくるはずだよ。」

「ほんとですか？」

「それが人生経験を積むってことかな。」

なるほど！

「ヒントとして、一つおしえてあげるよ。

大人ってね、いろんな事が自由にできるし、
手に入るって思うだろ？

だけど、制限されることもたくさんあるんだ。

そこの折り合いをどのようにつけるか？

その折り合いをつけるために、こうして
自分自身に戻れる時間を持つんだよ。