横子さんの憂鬱�� ページ43
横子さんの思い
安田さんのこの言葉を聞いて、私の涙は
止まらなくなってしまった。
嬉しいときにもこんなに涙って流れるものなのね。
あの時、母が離婚する事を私たちに報告した時、母は泣いていた。
おろおろする弟達を見て、私は決めた。
私まで泣いてはいけない。
弟達を守らなきゃ。
しっかりしなくっちゃ。
それから私は泣く事を我慢した。
そんな生活が続き、気がついたら私は泣く事が出来なくなっていた。
私どうしちゃったの？
これから先の事が、不安しか無かった。
そんな時にバイト先で倉子ちゃんに出会った。
彼女は、そのままだった。
思ったことはストレートに言葉にするし、
遠慮という言葉も彼女には必要ないものに
みえた。
何を喋るにも考えてしまう私とは正反対だっ
た。
彼女みたいになりたい。
そう思った。
そうすればきっと違った世界が広がるんじゃないかって。
ある意味、私の考えは当たっていたと思う。
こんなに素敵な人達と、出会えたんだから。
「お待たせしました。」
おーくらさんが美味しそうな物を運んできた。
「卵とじうどんです。」
「うわぁ、美味しそう。」
倉子ちゃんがさっそく声をあげた。
「ありがとうございます。
これはメニューにないのですが、うちのやすの好物でして。」
「あ〜はい、はい。
違う意味でご馳走様。」
あら、倉子ちゃん。
安田さんのことが、好きなのかしら？
「横子さん、何か意味深の笑いだわ。」
「いやいや、別に。(笑)」
「じゃあ、いただきましょうか？」
「はぁーぃ。」
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作者名：niko | 作成日時：2019年12月27日 22時
