５０話 ページ8
あんな決断をしたにも関わらず、私はいらいらしながら早歩きで彼を探していた。
どこもかしこも知っているようで知らない子供ばかりだ。
(あぁー！もうっ！どこ行ったんだよ、あいつ！)
大人の監視下にあるこの施設内で決して口に出し喚き散らすことはないが、それでも顔にはてでているらしい。
私の顔を見るなり後ずさる子供が少なからず多かった。
教室、運動場、保健室、遊戯室、相談室、図書室、食堂、お手洗い、浴室…、
手当たりしだいに探すも野坂は見つからない。
そして今、徹底的に廊下の隅から隅まで探していた。
その隅の奥まで探したのにいなかったため、今度は矛先を変えてたまたま近くにいた黒髪おさげの女の子に尋ねる。
「あの！ここら辺で、っ……灰色のTシャツに黒い半パン履いた男の子、見ませんでした！？
ピンクの髪してて背は私より少し上で、大人しそうな感じの」
うっかり番号を言いそうになるが、一旦落ち着いて野坂の容姿を言った。
「え、…うーん…見てないよ。ど」
「そうでしたか。失礼しました」
女の子が全てを言い切る前に私はとっとと探しに行った。彼女に悪いが、私は、「はい。」か「いいえ。」を知りたいだけだった。
ここまで焦っているのは自分でもよくわからない。
私は今衝動的に動いていた。
その有様が自分でも馬鹿馬鹿しくて、嘲笑けてきた。
_課題を再開して早数分、…ペンが一向に進まなかった。
詳しいことは自分でもよくわからないが、変に野坂のあの顔が脳裏に焼き付いて離れてくれない。
いや、離してくれない。
だんだんむしゃくしゃしてきて椅子を立つと、私は部屋を飛び出して…野坂探しに出掛けていた。
あの状態の彼を一人にしておくのは危ない。そう脳みそが警鐘を鳴らして黙ってくれやしない。
野坂にこんな手間かけてあげるのは今回だけだから。
そんな言い訳を今回も簡単にでっちあげて、
自分から他人に関わり合いを持たないって決めたの誰だよ。
そんな言葉すらもガン無視して、
私は彼の行方を必死に探している。
いつの間にか"野坂悠馬"という男の子を心配しているらしい。
いつからとか、理由とかはよくわからないが、今この事実が物語っていた。
「…ったく、仕方ねぇな。」
暇つぶしに、遠い昔のお日さま園にいたあの子の汚い言葉の真似をしながら、先の見えない廊下を急いだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 112人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
沙稀乃(プロフ) - 橋本アリィちゃんさん» ありがとうございます！(*´∇｀*)私の頭がポンコツのため、なかなか進みませんが、よろしくお願いします！\( ˙▿˙ )/ (2021年11月5日 0時) (
レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - とても面白かったです！続きを待ってます！(*´ω｀*) (2021年11月3日 20時) (レス) @page40 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - ピータンさん» コメ、ありがとうございます！！凄く面白いと言われて、もう既に心が有頂天になってるんでまともに返信ができませんが、本当に嬉しいです。ありがとうございます！更新のろのろですみません…！ (2020年8月21日 16時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
ピータン(プロフ) - すごく面白いですね！これ野坂君がもっと大きくなったらどうなるんだろう？これからも楽しみにしてます！ (2020年8月21日 11時) (レス) id: d4faf78640 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - こさめさん» え！？本当ですか！！ありがとうございます！！コメント本当にありがとうございます！嬉しいです！ (2020年8月18日 17時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：沙稀乃 | 作成日時：2020年4月12日 12時
