短編「思い耽る」後 ページ47
口を揃えて皆、仲いいんだね。って言うが全く違う！
実際は息を吸うようにいつも揶揄われていた。
ー彼奴が私にかまけてくるようになった始まりは…確か、あの宇宙人騒動事件が終わった後ぐらいだ。
…それこそ最初は疑心暗鬼だったが、後々理解した。
考えてみれば彼の周りを群がる蝶に、こんな根暗で捻くれた蝿はいない。だからこそ、カースト制度下位の女に興味を持ったのだと思う。
…じゃなければ、わざわざ北海道から時間をかけてやってきた挙句「君に会いに来たんだ。」とかのモテ男発言なんぞ言わないし、
連絡先を知っているのにも関わらず「今から僕とデートしようよ。…だめだった？」とかそんなことを突然会いに来て言いやしない。
頭を打ったに違いない。
他にも…、本読んでるのに「少し膝を借りていい？」とやんわりと言ってきたり(もちろん断った)、私が食べてたものを「僕もほしい」とか言って一口食べられたし、逆に「Aちゃん。はい、あ〜ん」とニコニコしながらそんな冗談を言ってきたこともあったな。
…あいつマジでなんなんだ。
様々なエピソードを生み出す吹雪士郎だったが、
その中でも一番強烈で恐ろしいと思ったことは、彼の大切なものであった白いマフラーを「永久貸出」してきたことだろう。
これはたまったもんじゃない。
宇宙人騒動事件が終わり、吹雪が北海道に帰る前の話だった。
彼は唐突に「預ってくれないかな？」と言って形見のマフラーを"貸し出し"てきたのだ。
それ以前は「触らないで」と言っていたのに、この時は「君だから受け取ってほしいんだ。」と言って私に渡してきた。
どうしてと聞けば「きっとアツヤもこうするだろうなって思ったんだ。…これが"今の僕"の気持ち。」と告げる。意味がわからなくてすぐ突き返したが、「お願い」と言われてどうしようもできなかった。
後になって他人の大切な物を管理することの恐ろしさを実感することになったが、もはや後の祭りだ。
その後も吹雪士郎とは必然的に関わらなくてはならなくなったし、会う度吹雪士郎に「例のマフラー」の話をしなくてはならなかった。
全く嫌な話である。
「ーだいたいあっちもその気はないでしょ？」
それは確信を持って断言できた。実際告白されたこともなかったから。
「…その鈍さがお前なりの自己防衛なのは承知してるが、自己肯定が低すぎるのも大概にしておけ。」
「えぇ…？」
「その調子でこっちの誘いを断ったぐらいだからな。全く嫌になる。」
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沙稀乃(プロフ) - 橋本アリィちゃんさん» ありがとうございます！(*´∇｀*)私の頭がポンコツのため、なかなか進みませんが、よろしくお願いします！\( ˙▿˙ )/ (2021年11月5日 0時) (
レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - とても面白かったです！続きを待ってます！(*´ω｀*) (2021年11月3日 20時) (レス) @page40 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - ピータンさん» コメ、ありがとうございます！！凄く面白いと言われて、もう既に心が有頂天になってるんでまともに返信ができませんが、本当に嬉しいです。ありがとうございます！更新のろのろですみません…！ (2020年8月21日 16時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
ピータン(プロフ) - すごく面白いですね！これ野坂君がもっと大きくなったらどうなるんだろう？これからも楽しみにしてます！ (2020年8月21日 11時) (レス) id: d4faf78640 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - こさめさん» え！？本当ですか！！ありがとうございます！！コメント本当にありがとうございます！嬉しいです！ (2020年8月18日 17時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙稀乃 | 作成日時：2020年4月12日 12時
