５８話むだなじかん ページ16
「…」
人口の芝生を踏みつけて目の前に転がってきたボールを蹴ることなく…呆然と見つめることしかできない。
今やっているのは保健体育実技の授業で…、どういうわけかサッカーボールを蹴らなければならない。
好きでもないのにあの時みたいに強要されて、蔑まれて…、蹴り返すのを反射的に躊躇って、立ち尽くすことしか出来なかった。
「おい！！そこ！止まるな！」
ホイッスルが何度もしつこく鳴り響き、止まっている私を強く指摘する。
私が動くまでずっとピーピー笛を鳴らすものだから、だんだん苛ついてきた。
(そんなピーピー鳴らすもんじゃねぇだろ…。)
怒られたのでとりあえず練習相手になっている名も知らない子に蹴り返した。
ようやく休憩に入ったところで、私はもちろん呼び出しをくらった。
「どういうつもりだっ！！」
他の子が見ているにも関わらず、唾を散らしながらジャージ姿のおっさんはキレた。
いや、敢えて見せているのかもしれない。
こうして間違った子供は公で怒鳴られる。そうして恐怖心を煽って後半の練習に身を引き締めてもらいたいのだろう。
「走れと言ったら走れ！ボールを蹴れと言ったら蹴れ！
本気でやらんか！」
どこのスパルタ教師だよ…。よくそれで教師の免許とれたな…。
と、怒られているのにも関わらず心中では毒舌を吐いていた。
「すみません」
言い訳したところで、こういう奴が言う言葉は一つ、『言い訳するな』だ。
つまり言い訳なんて言ったところで意味がない、
とにかく謝る以外に道もなく、謝ることに専念する。
「お前にはわからんだろうが、こっちは上からの指示があんだ！お前が怠ければ上にすぐに伝わり、俺の責任にもなる。この能無しが！」
「…すみません」
薄っぺらな言葉を紡ぐ。
「本当に反省してんのならなんでさっきの時間は叱ってもずっとちんたら動いてたんだ！？おちょくってんだろ？」
残念だが、おちょくった覚えはない。
「すみません」
「ちっせえ声ですみませんすみませんって、お前それしか能がねえのか！？…はぁ…」
彼のため息が嫌に耳に残る。
罵声や悪口はもう慣れたにも関わらず、相変わらず私の身体は嫌いらしい。
でも逃げることはできない。…謝ることしかできないから、息をすって同じ言葉を言った。
「すみま」
「_もう、言わなくていいよ」
聞き覚えのある声が横入りすると同時に腕を引かれ、一歩二歩と後ろに引っ張られるまま退っていった。
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沙稀乃(プロフ) - 橋本アリィちゃんさん» ありがとうございます！(*´∇｀*)私の頭がポンコツのため、なかなか進みませんが、よろしくお願いします！\( ˙▿˙ )/ (2021年11月5日 0時) (
レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - とても面白かったです！続きを待ってます！(*´ω｀*) (2021年11月3日 20時) (レス) @page40 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - ピータンさん» コメ、ありがとうございます！！凄く面白いと言われて、もう既に心が有頂天になってるんでまともに返信ができませんが、本当に嬉しいです。ありがとうございます！更新のろのろですみません…！ (2020年8月21日 16時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
ピータン(プロフ) - すごく面白いですね！これ野坂君がもっと大きくなったらどうなるんだろう？これからも楽しみにしてます！ (2020年8月21日 11時) (レス) id: d4faf78640 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - こさめさん» え！？本当ですか！！ありがとうございます！！コメント本当にありがとうございます！嬉しいです！ (2020年8月18日 17時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙稀乃 | 作成日時：2020年4月12日 12時
