【イナズマイレブン】怪傑の奇術師【男主】Ⅱ (ページ40)

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いつものように河川敷にやってきた雷門だったが、監督がいない現時点の状況的に気分は大分沈んでしまっていた。そんな仲間たちのやり取りを傍観していた白石だったが、ふと橋の上の人影に気付いて視線を向ける。

『……鬼道くん』

何か言いたげな彼の雰囲気を察した白石は、円堂と共に土手へと上がって行った。

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「冬海の件で謝りたかった。それに、土門のことも……」

「あ、そのことはもういいんだ。
土門もさ、あいつサッカー上手いよな」

土門を見る円堂につられるようにして目線を動かした鬼道は、スパイとして送り込んだ後輩のん雷門中のユニフォーム姿を見つめ「羨ましいよ、お前たちが」と呟く。

「それに比べて俺たちは……」

帝国が全国の頂点に立ち続けているのは、この手あの手を使って勝利を掴もうとする総帥影山の采配と策が功を成しているから。どれだけ汚い犠牲の末に掴み取った勝利だとしても、敗者に落ちぶれるよりはマシだったんだろう。

「常に頂点に立つために、俺は人一倍努力してきたつもりだ。なのに…今までやってきたことは、全部偽物の勝利だった」

「んなこと無いって!!」

「お前に何が分かる!!」

勢いで円堂に詰め寄る鬼道だったが、円堂の「分かるよ!!」という強い返答に八ッとして落ち着きを取り戻した。

「俺、お前からいっぱいシュートくらってるんだぞ!帝国の強さは、俺の体が知ってるぜ!!なぁA」

『うん。実際に試合をやった俺達が言うんだから、間違いないと思ってよ』

そこまでも真っすぐな円堂。
どこまでも優しい白石。

両者の言葉に「お前たちとの試合、楽しめそうだ」と軽く笑みを浮かべた。

『あとは、新監督をどうにかしなきゃだね』

「その件については大丈夫なのか?」

「ああ、まぁ…なんとかなるさ!
なぁ、なんなら一緒に練習やんない?」

「……俺は敵だぞ?」

「そんなの関係ないよ」

昨日の敵は今日の友。
屈託のない笑顔を向ける円堂に、鬼道は「そのうちな」と言葉を残して去って行った。