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秋葉名戸学園との試合当日。
怪我をしている、皆の集中力を削ぎたくない、客観的に雷門の試合を観てみたいという理由で、白石はベンチにも入らず観客席から彼等を眺めていた。
特にこれと言った動きがないまま時間だけが経過しているように見えたが、白石は手元にある使い古したノートに世話しなくペンを走らせていた。
『(全員トラップをする前に周りを見る癖をつけた方がいいかもしれない。受け取った後に慌てるよりも、最初から周りを見て……そうすれば、突然マークにつかれても対応できる。)』
『でも視野は個人差があるし』と小さく呟いてから、再びフィールドに目をやれば、丁度後半戦が終了した瞬間で。
松葉杖を使って雷門ベンチの上まで移動した白石は攻めてこない秋葉名戸学園に戸惑っている雷門メンバーに『やぁ』と声をかける。
「白石!」
『この試合、秋葉名戸学園は後半から仕掛けてくると思うよ』
「後半から?」
「お前、なんでそう言い切れんだ?」
染岡から投げられた純粋な疑問に、白石は笑みを浮かべた。
『彼らが本物のオタクであれば、きっとそうする』
そう言い切った白石。彼の発言の意味が分からないのか、雷門メンバーは揃って首を傾げた。
ただひとりだけ、秋葉名戸学園とシンパシーを感じていた目金だけは白石の発言を真正面から受け取って、ゲームに勤しんでいる秋葉名戸学園を眺める。
『後半も変わらずに応援してるから、皆頑張ってね。ああ、あと…』
足を止めた白石はメイド服に身を包むマネージャー達に目を向けた。
『三人ともとっても似合ってるよ』
それだけを残して、今度こそベンチから離れていく白石。
「……白石の前世って英国紳士かなんかじゃない?」
「間違いないな。普通の人間はあんなこと言わないだろ」
「だよなぁ……マネージャー顔真っ赤だし」
「罪深い男だぜ…」
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作者名：-naki-
x他1人 | 作成日時：2018年6月3日 13時
