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試合後。怪我をしたことを聞きつけた白石家の家政婦により、病院に連れていかれた白石。
彼はひっそりと冷や汗をかきながら、自身の問診をしている男の背中を見つめていた。
「内臓や頭部に問題はない。あるとすれば……まぁ見てわかる通り、全治一週間ちょいの足の捻挫と背中の打撲だな。落下したとき息ができなくなったろ。あと気絶したっても聞いたし。どんだけ高所から落ちたんだ?」
「なぁ、A?」と白石によく似た蜂蜜色の瞳を向けてきた眉目秀麗の男＿＿＿白石の実の父であり、稲妻総合病院の医師であった。
彼は息子のカルテをじっくしと見た後、ただサッカーをしにいっただけなのに何故ここまで満身創痍になっているのか分からず、もう一度息子に視線を向けた。
『結構飛び上がってたから、それなりの高さではあったと思う』
「だとしたらこの怪我は全然マシだな。」
当時の状況を聞いてみる限り、長期間の入院だって考えられただろう。
だがそうならなかったのは、海外に居た際に教えた護身術の中にある受け身の取り方のおかげでしかない。
「医者として言えるのは、捻挫が治るまでは運動禁止だ。試合もあったと思うが、今回ばかりは諦めてもらうぞ。背中の打撲は……若いからなんとかなる。」
『最後がアバウトすぎるよ、父さん』
「息子だからだ」
そう言って再びカルテと向き合った父に、予想していたよりも注意されなかったなと考えながら、白石はポケットに沈んでいる携帯を触った。
一応病院に行くことは雷門メンバーに伝えてきたし、これからの試合に出るのももしかしたら厳しいかもしれない…と若干話を盛って、白石の力を借りれない事を前提に練習に取り組む気持ちを作ってもらっている。
だが盛った分よりも症状は軽かったので、謝罪と訂正をしなければいけない、なんて考えていると「A」と父に呼ばれた。
「試合、勝ったんだってな」
『うん』
「おめでとう。このまま優勝してこいよ」
『……勿論。迷惑をかけた分、サッカーで返すつもりだよ』
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作者名：-naki-
x他1人 | 作成日時：2018年6月3日 13時
