【イナズマイレブン】怪傑の奇術師【男主】Ⅱ (ページ16)

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何の前触れもない鬼道の提案に、白石は静かに目を見開いた。
あの鬼道が冗談でこんなことを言うなんて到底思えないし、嘘だとしてもこんなに笑えない嘘は彼は言わないだろう。

賢い彼だからこそ、何か思うことがあったはず。だがそれが白石には分からない。

『突然すぎやしないかな。今そんなこと言われたって、OKは出来ない』

「そう言うだろうと思っていた。」

『……ならなんで』

俺を誘ったのさ。
白石の言葉に鬼道は小さく笑った。

「お前が傍に居る状況でサッカーが出来たなら、サッカーをただただ楽しむことが出来るんじゃないかと思ったんだ」

目を逸らした鬼道が思い出すのは、初めて帝国と雷門が戦ったあの試合。
見るものを虜にする彼のプレー、仲間に向けられる穏やかな笑み、そして紛れもない強さ。
全てが羨ましい、欲しい、彼が慕わしいと思うようになったのは最近の話ではない。

声が聞きたくなった、と口実をつけてかけた電話はその欲をセーブする為のものにしか過ぎなかった。

『俺は雷門から離れる気は無いよ』

「分かってるさ。そう簡単に進められる話じゃ無いことも、全部な」

『……ごめん』

「俺の方こそすまない」

両者が黙って何とも言えない空気が流れる。
鬼道は暗くなった空を見上げるとなにも言わずに白石に背を向けた。白石も黙って鬼道の後ろ姿を見送ろうとするが、不意に鬼道くんと彼の名前で呼び止める。

『遊びのサッカーならいくらでも付き合うから。そう言う気分の時は誘って』

「あぁ…」