貴方と居る事と生き残る事 2

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チシヤside

さっさとこのトランプを持ってAと逃げてしまおう。
我ながらいい計画だったのに残念ながらハートの10に邪魔をされた。

ロビーに集めさせられてお馴染みのルール説明が行われる。
ルールを聞き終えた後嫌な予感がしてAを連れなるべく離れた場所へと移動しよう。

そう思って管理室というかなり奥にある部屋に俺とAとクイナで入り込んだ。

防犯カメラを見ると既に殺戮が始まっていた。
嫌な予感は的中したようだった。

Aに視線を移すと彼女は何処か一点を見つめている。

彼女の視線の先には"事務室"と書かれた場所だった。
暗闇の中に光が一点ともっていて誰かが何かを探している様子だった。

きっとこの"何か"が今回重要になる。
そんな気がした。

そうするとAも同じ事を思ったのか


「ごめん、ちょっと行ってくる」


そう言って事務室は向かおうとした。

流石に1人で行かせるわけにはいかない思った俺は彼女の細くて白い手首を掴み、止めた。

でも彼女は一緒に行こうとせずに大丈夫と笑って見せて部屋を出て行った。

元々人に興味はなく誰かの心配をする方ではなかったのだが
今はAのことが心配で仕方ない。


「...本当に変わったなぁ俺」


そんな事をクイナと2人になった後に呟くと
「何言うてんの？」とクイナが呆れた顔で俺を見る。


さあ、俺もひと仕事しますか。


…………………………………………………………………………………


「そろそろ飽きる頃じゃない？弱い物いじめするのも」


俺の目の前にいるのは屋上からライフルでビーチの人間を片っ端から攻撃していたニラギ。

大嫌いな俺の声を聞いてゆっくりの振り返った。


「どこに隠れてた？」


明らかに不機嫌になったニラギが俺に問いかける。


「隠れる場所なんていっぱいあるよ」


「イラつかせてくれるねぇ！いつもいつもいつも！」

「頭がいいフリしやがって」


うーん、見る限りかなり不機嫌だなぁ。
いつ撃たれてもおかしくない。


「頭がいいんだもん」


更にムカつかせる事を言う俺。
癪に触らせるのは得意な方だと自分でも思う。

ニラギはその俺の言葉を聞いて床に固定してあったライフルを手に持った。


「ちょうどいい、ここで決着つけようじゃねえか」


とばつの悪い顔でそう言う。
でも生きて必ず会うってAと約束したからなぁ。
ここでは死なない。

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