消えたがり 【3年A組】

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タイムリミットの8時が近づいてきて、柊先生が教室に入ってきた



柊「そろそろタイムリミットだ

まずは、僅かな可能性に懸けて…

フェイク動画を撮った人！」




先生の声が虚しく響く


結局、犯人は自分から名乗り出なかった




柊「仕方ない…

じゃあ刑事さんに当ててもらおうか

刑事さん、分かりましたか？」


郡［ああ。直前まで迷ったけどもなあ］


柊「ちなみに誰と迷ったんですか？」


郡［熊沢 花恋と、里見 海斗だ］


…すごいな、刑事さんって

あの動画1つで2人に絞り込むなんて…



柊「えー、里見とはまた意外ですねえ」

郡［里見は、真壁からジャージを借りていた

彼を更衣室へ案内した大会関係者も見つかった

里見がイケメンだから覚えていたそうだ


問題は、どちらがこの動画を撮ったのか

その鍵を握るのは、袖の汚れだ］



先生は動画を確認し、少し唇を歪めながら笑っていた


柊「袖の汚れ…

ああ確かに、オレンジ色のシミがついてますね」


郡［おそらく何かが付着して、洗ったんだろう

そこで2人に、その日何を食べたのか聞いてもらった(・・・・・・・)］



聞いてもらったって…？

まるで、クラスの誰かに手伝ってもらったような言い方だよね…

でも私たちには外と連絡を取る手段はないし、それを持ってるのは先生だけのはず

でも先生は今日、課題を与えてから今まで教室には来てないし…









郡［その結果、1人がトマトジュースを飲んでいた］


柊「トマトジュース…

確かにそれなら、オレンジ色のシミがつきそうですねぇ

で、その生徒は、一体誰だったんですか」



「ま、待ってください…」


郡［ん？何の声だ？］


柊「A、黙ってろ

…1日目と同じだ

お前に回答権はない」


「で、でも…」


甲「…どうしたんだよ、A」


「お、おかしいですよ…だって_____」



柊「黙るんだ、A」


先生の声が低く響く

おそるおそる先生を見ると、今までに見たことがないほど冷たい瞳が私を射抜いた



「…すみま…せん」


柊「いやぁ、すみません、邪魔しちゃって…

では、もう一度聞きます

刑事さん、あなたの結論は？」


郡［あの動画を撮った犯人…

あの日にトマトジュースを飲んでいたのは…





熊沢 花恋だ］

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