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慌てて女子トイレから飛び出ると、足元がふらつき、頭から血を流した先生が立っていた
「柊…先生…?」
柊「あぁ、Aか…」
どうしたんですか?
その一言さえ言えずにただ押し黙ってしまう
「あの…私…その…」
柊「…ごめんな、怖いよな」
なんで、先生が謝るの…?
そう尋ねる間も無く、先生は美術室のほうへ向かっていった
「いってぇ…」
「くそっ、どうすんだよ…」
先生を追いかけるべきか迷っていたとき、男子トイレから苦しげな声が聞こえた
「大丈夫…?」
甲「…A?なんでお前がいんだよ…」
「ごめん…なさい…
女子トイレにいて…声とかが…聞こえて…」
甲「…あっそ」
そっと傷口に手を伸ばす
顔だけでなく、腕や足にも擦り傷や切り傷がたくさんある
「ちょっと…まっててください…」
ポケットに入れていたティッシュを水で濡らして軽く絞る
「痛いと…思います…」
先に頭を下げて謝っておき、傷口にティッシュを近づけて、血を拭う
甲「痛っ…!」
「ご、ごめんなさい…」
顔、腕、足
とりあえず、倒れている男の子の分は終わり、少し傷口が綺麗になった
「…じゃあ」
そう言って教室に戻ろうとすると、甲斐くんが私の腕を掴んだ
甲「なんで…なんで治療すんだよ」
「な、なんで…って…言われても…」
甲「…あんだけ酷いこと言ったのに
いつも嫌がらせしてたんだぜ、お前に」
そう…だけど…
「別に…どうでもいいんです…私のことなんて…
でも甲斐くんたちは…クラスの人のために…動いた
…そんなこと…私には…できないから…」
私の視線は自分の手
つまり、かなり俯いている
けれど、甲斐くんたちが驚いているのは伝わった
甲「なぁ、A…」
「…ごめんなさい…教室に…戻ります」
でも、これ以上は一緒にいれない
そう判断し、逃げるように甲斐くんたちに背をむけた
「先生…大丈夫…かな」
血を流していた先生が、どこか危険で、どこか儚くて
「一応…のぞいてみよう…」
私はどこかで先生を信じているんだ
だからこうやって、足が美術室に向かうんだ
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sei(プロフ) - 楽しんで読ませてもらってます!私にもその文才欲しいくらいです。・゜゜(ノД`) (2019年3月21日 17時) (レス) id: cd07a6348c (このIDを非表示/違反報告)
バボちゃん(プロフ) - 諸行無常系女子さん» ありがとうございます!頑張りますね( ̄^ ̄)ゞ (2019年3月18日 18時) (レス) id: f818c9f9b9 (このIDを非表示/違反報告)
諸行無常系女子 - 楽しく読ませてもらってます!これからも頑張ってください(*^o^*) (2019年3月18日 14時) (レス) id: 30d23c8fcb (このIDを非表示/違反報告)
バボちゃん(プロフ) - ラビットさん» ありがとうございます!ラビットさんのお言葉、とっても励みになります! (2019年3月17日 23時) (レス) id: f818c9f9b9 (このIDを非表示/違反報告)
ラビット(プロフ) - ものすごく面白くて続きが気になります!更新頑張ってください! (2019年3月17日 19時) (レス) id: 80ad6ef553 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:バボちゃん | 作成日時:2019年3月14日 20時