【A3!】天才ちゃんの化けの皮。2nd

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Settsu side.






「……。」





「…なに万里、顔怖いよ？」





「…至さんこそ、その緩みきった顔なんとかしろよ…。」







俺は、いつも通り至さんの部屋でゲームに勤しんでいた。
ただ…いつもと違うことがひとつだけ。









『……んぅ、』





「はは、由井さんかわいー。」








俺と至さんさんの間で、台本を開いたまま眠りこける由井ちゃん。
さっきまで3人で会話してたんだけど…気がついたら寝ていた。






…至さんの肩にもたれかかって。






肩にもたれかかられたら、コントローラーが弄りにくくなる。
だから、俺は至さんが不機嫌になるとばかり思っていた。
…けど、至さんは全く逆の行動をとったのだ。






由井ちゃんがもたれかかると、愛おしそうなものを見るような目をして、至さんは由井ちゃんにもたれかかった。







そのとき感じた、確かなイラつき。








「…なぁ、至さん。」





「なに？」






「…至さんて、由井ちゃんのこと好きなわけ？」






「万里は？由井さんのこと、好き？」






「…今俺が質問してんすけど。」







至さんは、笑いながらコントローラーを置く。
そして、由井ちゃんの頭を撫でた。
…俺に見せつけるように。








「…好きだよ？俺、由井さんのこと。」






「は…」








ゲームで勝ち誇ってるときみたいな、不敵な笑み。
最初はジョーダンかと思ってたけど、どうやらマジらしい。









「最初はなんでかわかんなかったし、気のせいかと思ってたんだけど。


自覚したのはこの前の朝かな。今ではガチで好きだよ？


…今だって、お前の隣で寝かせてるのクソ腹立つし。」







至さんの顔を見て、俺の気持ちを考えた。









朝、天馬に抱きついてるときとか。



兵頭の野郎のためにケーキを買いに行ってるときとか。



ゲームのやりかたに至さんの癖がうつってることとか。



臣がつくったデザート食べてるときとか。



路地裏でアイドルに口説かれてるときとか。









イラつく場面は沢山あった。
…なんとなく自分のこの感情に気づいてはいた。






今まで恋愛とかは、人並みにしてきた。
けど、それは所詮お遊び程度。暇つぶし程度に女と絡んで、本気になんてなることはなかった。






…なのに。








「至さん。」






「何？」






至さんにもたれている由井ちゃんの肩を抱き寄せる。







「…簡単には、やらねぇーから。」






負けたくない。

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