#79 ページ33
→
ジュンくんの唇が、私のそれに近づいてくる。
吐息が唇にかかって、顔に熱が集まった。
逃げないと。
拒否しないと。
そう思うのに、体を動かす力は抜けきっていて。
もうキスされるのかな、なんて思っていると…聞き慣れた声がジュンくんを止めた。
「アイドルとタレントが路地裏でキスとか…それってどぉーなわけ?特にアイドルさん。」
その瞬間、止まる唇。
「誰っすか、アンタ。」
『せ…摂津くん…?!』
そこにいたのは、制服姿の摂津くんだった。
声は怒りを孕んでいるのに、その表情は不敵に微笑んでいた。
それを見て、同じく睨みつけるジュンくん。
「…Aさん、こいつ誰っすか?」
『…私が行ってる劇団の男の子。』
「ふぅん…。」
ジュンくんはそういうと、私の腰に手を回して抱き寄せた。
「Aさんの恋人とかじゃないんなら話しかけないでくれませんかねぇ?
見ての通り、口説いてる途中なんで。」
「だぁーから、それをヤメろっつってんだろ。」
「なんでっすかぁ?…ウチの学院、恋愛禁止とかそーゆーのないんで、別に口説く事は御法度じゃないんすけど?」
「アイドルだかなんだか知らねぇーけど、調子乗ってんじゃねぇぞテメェ…」
「…調子乗ってんのはあんたら劇団だと思いますけどぉ?」
「はぁ?」
『ジュンくん、それはだめ。』
ジュンくんの腕を引いて制止させる。
すると、ジュンくんは文句がありげな顔をしながらも押し黙ってくれた。
:::
ジュンくんをなんとか説得して、帰ってもらう。
すると、路地裏には私と摂津くんの2人きり。
「由井ちゃん、あいつ何?」
『ちょっと前から仲良くしてもらってる高校生アイドルの子だよ。
高校生アイドルの中じゃトップクラスのユニットの子で…社長の意向でよくコラボするの。』
「へぇ、…なんか、いけすかねぇやつだった。」
『はは、摂津くんとはあんまり合わないタイプの子だからね…。』
私が笑うと、摂津くんはため息をつく。
そして、私の腕をひいた。
「なぁ、由井ちゃん。」
『何?』
「俺らが由井ちゃんに負担かけてんのはわかってる。
…だからせめて、なんか困ったことがあったら頼ってくれ。」
真剣な表情の摂津くん。
すごくありがたい。ありがたいんだけどね。
多分、これは言えない。
675人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「逆ハー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夢花(仮垢) - #56の天馬の発言にて誤字発生…作者さん勢いで書いたか眠い時に書いたやろ(ジトー)無理とかしないでくださいよ!? (2018年11月8日 21時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - あ、因みに#55の「無理してる感じは凄くしてるけどね」と有りますが、恐らく「してる感じはあるけどね」かと。見直しお願いします(このコメは消してもらって構いません) (2018年11月8日 21時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - #55のとこ…天才じゃい…w紬さん…w((殴 誤字ありました。面白いです← そしてそーちゃん!!!!何!?作者さん神!?もっと早めに知ってれば候補キャラ言えたのに!!wそしてコメで見えたんすけど、他キャラ名も…よし、今から見てきます (2018年11月8日 21時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
碧依 - めっちゃ面白いです!お兄ちゃんってスタマイの由井孝太郎ですよね!?アイナナやBプロやあんスタなどのキャラが出てきて面白いです! (2017年11月19日 23時) (レス) id: 5361a6093c (このIDを非表示/違反報告)
アオツキ*(プロフ) - ちょいちょい地味にアイナナ、Bプロ、あんスタのキャラを入れてきてすごく楽しいです!更新頑張って下さい! (2017年11月19日 22時) (レス) id: e61c22ef84 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:青 | 作成日時:2017年10月12日 20時