【A3!】天才ちゃんの化けの皮。2nd

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「A、どうしたのー？」





『斑鳩さん…こんばんわ。』







仕事を終えて、23時ごろ帰宅。
それから、リビングで例のMVの資料を見ながら唸っていた。
そして、斑鳩さんに声をかけられる。






「Aの目がね、サンカクになってた！」





『え"』







ニコニコとしている斑鳩さんに、眉間をぐりぐりと押さえられる。
…地味に痛いです斑鳩さん。







「眉間にも、しわ寄ってたよー？
Aにサンカクがあるのは嬉しいけど、Aは目がまんまるの時の方がかわいい！から好き！」





『あっ、ありがとうございます…？！』







斑鳩さんと話してると、癒されるんだけど…ペースを持っていかれるというか…。
不思議な感じになる。







「考えごと？」





『あっ…、今度撮るMVのお芝居で悩んでるところがあって…。
でも、大丈夫です。なんとかしますから！』





「どれどれー？」







私の言葉をスルーして、斑鳩さんは私の手から資料を奪い取る。
そして、ふんふんと言いながら読み込んでいった。







「この曲、聞かせてー？」





『ど、どうぞ…。』







斑鳩さんにイヤホンを差し出す。
すると、すごくスムーズな動きで片方のイヤホンを私の耳に入れて来た。







『え？！』





「しー！曲、始まっちゃう！」







いたずらそうに笑って、唇に人差し指を当てる。
やっぱり、斑鳩さんかわいいなぁ…。





それから私と斑鳩さんは、曲を聴いては資料を見ての繰り返し。








ゆっくりと、画を思い浮かべる。







"君の恋はGAMEで 僕の声はTrue love"





"好きだと言っても 声は君に届かない"





"君の愛は少しで 僕の愛は全てで"







歌詞が物語る、演者達の心情。
もちろんだけど、このお芝居にセリフはない。
大まかな設定はあるけど、殆どの部分は演じ手のフリーになってる。







何も、MVに出るのが初めてっていうわけじゃない。
ただ、こんなに気持ちを表現しづらいMVに出るのは初めてだ。
ここまで来て、こんなところで躓くなんて思ってなかった。








『…軽々、できればいいんだけどね。…天才だったらできたのかな。』







無意識に、自然と口から言葉が溢れる。
そしてその言葉は、当たり前のように斑鳩さんに拾われて。







斑鳩さんは、1度ぽかんとしてから…ふんわりといつもの笑顔に戻った。








「最初からなんて、できなくていいんだよ？


オレも一緒にするから、おけいこしよ？」

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