【A3!】天才ちゃんの化けの皮。2nd

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認めて欲しい。




見て欲しい。




撫でて欲しい。




愛して欲しい。






そう言った願いは、人間誰でも持っていると私は思っている。
どんなにツンケンしている人だって、絶対に1人だけでは生きていくことなんてできないのだから。






頑張ったら褒めて欲しいし、大好きな人にはたっぷりの愛を与えて欲しい。
そんな、子供じみた欲望を私だって持っていたわけで。






そんな願いを胸に秘めつつも、私がいる世界ではそんなものは許されず。





だからといって、家でもそんなことは許されなかった。
天才的に商売が上手い母に、天才科学者の父。それから、天才薬学者の兄。





そんな中生まれた、器用貧乏な私。
天才でもないのに、天才と囃し立てられ。





そして、私はフィクションへ逃げた。




そうして自分じゃない誰かになろうとする度に、自分を失い始めた気がした。






ある時は純粋な少女に。





ある時は勇敢な戦士に。





ある時は森に住むリスに。





ある時は男を誑かす悪女に。







私の顔は、私の顔まま違う顔になる。
それが嬉しくて、寂しくて、怖くて、愛おしかった。






演ずるということだけが私の心の拠り所で、自分の興味を全てそこへ注ぎ込んだ。
そうすることで、私は他人になれる。安心する。






するとその反動からか、それまでは大好きで気になっていた人たちのことがどうでもよくなったのだ。






誰が失敗をしたとか、誰が倒れたとか、どの番組が視聴率が取れてないとか、誰がスキャンダルされたとか。






私には関係ないしどうでもいい。
そんなこと考えてる余裕なんて私にはない。






きっと私はこれからも1人で生きていく。
そう思っていたのに。







「Aちゃん？」





『いづみさん…』







いつの間にか、いづみさんに顔を覗き込まれていた。







「どうかした？…なんか、辛そうな顔してたけど…。」






『…いえ、なんでもないですよ。ありがとうございます。』








ここに来て、自分の中で何かぎ変わって来ているのがわかる。
帰って来たら「おかえり」をもらえて、他愛もない話をして、時には厳しい話もするけれど…それも何だか楽しくて。







MANKAIカンパニーのみんなに、どろどろにされる感覚にずっと浸っていたい。







まだ彼らに興味はわかないけれど。
でもいつか、みんなのことを知りたいと思える日が来て欲しいとは強く思う。





なんて、我儘だろうか。



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