【A3!】天才ちゃんの化けの皮。2nd

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Tachibana side.







今私は緊急事態に陥っている。






「ゆ、ゆゆゆゆ由井さん！私もう出た方がいいですよね？！」





『いや…別に気にしてないですよ…？ゆっくりなさってください。』








そう言って、髪の毛についた泡を洗い流す由井さん。
…そう、なんてこったあの由井さんとお風呂で遭遇してしまったのだ。






何度も出ると言ったのに、由井さんは居ていいと言ってくれて…。
すごくありがたいんだけど、あの天下の人気タレントさんとお互い裸でお風呂なんて私にはハードルが…！






うんうんと唸っている間に、由井さんは全部洗い終わったようで湯船に入ってきた。
うわぁぁあなんかいい匂いする…！！
ってか細いのに胸は…じゃない！私！！！







『監督さん…どうかしました？』





「い、いえ！！まさかあの由井さんとお風呂に入る日がくるなんて…みたいな…緊張します。


由井さんのパーフェクト女子ボディにの隣に私がなんて…！！！」






『そうですか？？…気にすることないですよ、監督さん。

お肌すごくキレイですし、スタイルもいいじゃないですか。』







「何言ってるんですか？！？！…わ、私生きててこんなことになる日が…！！」







『はは、おもしろいこと言いますね監督さん。
私でよかったらいつでもお風呂なんて入りますよ？』






「えぇえ？！」







驚いて、逸らしていた目を由井さんにばっと向ける。
すると、由井さんはなんだか嬉しそうな顔をしていた。






…裸の由井さんの隣で微笑みを貰えるなんて…私今年で運使い切るんじゃ…？








「…ゆ、由井さんなんでそんなに嬉しそうなんですか？！」






『…あれ、ばれました？』






「だ、だって…由井さんのそんな顔ここであんまり…」








私が言いかけると、由井さんはふんわりと微笑んで…湯船に浮いていたイルカをつんつんとつついた。







『…私、初めてなんです。プライベートでこんな風に誰かとお風呂に入るの。』







「え…？」






『幼い頃から声優や女優をしてて…その前は劇団で日本を転々としてたから…学校行事って参加したことないんです。だから…ちょっと楽しくて。』







照れたように由井さんが笑う。
その顔がすごくかわいくて、きれいで。
女の私でも息が詰まった。






由井さんって…思ってたよりキツい子じゃないみたい。






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