#normal ページ4
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『………はぁ。』
職員室で、カタカタとキーボードを叩きながら無意識にため息を吐いた。
原因はわかってる。…この前の、コンビニでのできことだ。
気がついたら男の人とぶつかっていて、気がついたらショーケースに背中をぶつけていた。
そして、ちらっとみたそのひとの顔。
怖くて怖くて、一瞬しか見られなかった。
そんな中見た彼の表情は────私と同じだった。
怖くて、来ないで、助けてって顔。
『(なんであの人…あんな顔してたんだろう。)』
ぶつかったあと、もう一人いた男の人が私に何か言ってた気がするけど…。私も気が動転していて、覚えていなかった。
…私が何かした?それとも…私とおんなじで異性がダメとか…?
結構ありえるかもしれない。異性に対する恐怖症は、軽いものから重いものまであるけど20人に1人はいると言われている。
もしそうだとしたら…。
「薄氷先生、どうかされたんですか?」
『あ…結城先生。』
私に声をかけてきたのは、デスクが隣の結城先生だった。
歳は私より一つ上の音楽教師だ。ふわふわっとしていて、女性らしい先生。彼氏は別の高校の数学教師らしい。年内には結婚も考えているらしい。
…私とは違って、人生イージーモードって感じの人。
羨ましい…とは、思っていない。
「何だか思いつめた顔をされてたので…。」
『すっ、すみません!別に大したことじゃないんですけど…!今日の授業のことで少し…。』
「お仕事熱心ですね!」
『あはは…、ありがとうございます!』
すると結城先生は、思い出したように話をまた切り出した。
「ねぇねぇ薄氷先生!」
『どうしました?』
「薄氷先生、今恋人いませんよね?よかったら、今度私の男友達と食事でもどうですか?
先生のことを話したらすごく会いたがってて!
先生もそろそろですし、結構相手の目星くらいつけといたほうがいいでしょう?」
まただ。
…あぁ、なんで世の中はこうなんだろうか。
恋人を作って、結婚して、子供を産んで…。なんでそれが"ふつう"なんて思われてるんだろう。
じゃあ、男性が怖い私はどうしたらいいの…?
いつだって、型にはめられる。男性が怖いって気持ちを無視して、みんな私に"ふつう"のレッテルを貼ろうとするんだ。
『考えておきますね。』
…幸せって、何なんだろう?
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作者名:あおい | 作成日時:2018年7月14日 12時