#first contact ページ1
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油断した、としか言えなかった。
「ひっっっ、す、すみませ……っ!!!!」
『いっ…た、』
目の前にいるのは、目がチカチカするほどの金髪にダボっとしたスウェット姿の男。
そして、近くにもうひとり。
私はたた、深夜に仕事の息抜きとしてプリンが食べたかっただけだった。
ほんと、それだけだったのに…なんでこんな目に会わなきゃいけないんだろう。
突き飛ばされたおかげで、棚にぶつかった背中は痛いし、倒れたおかげでお尻も痛い。
もう、ほんと、最悪。
深夜だからコンビニの店員さんも一人しかいなくて、見当たらなかった。
「すっ、すみません!こいつ女性の方苦手で…!!
お怪我はありませんか?!」
『っ…!!!!!』
茶髪の男が、私に手を伸ばしてきた。
けど、私はそれを拒否する。…目も合わせることができない。
…だんだん、気道が狭くなっていくのがわかる。
冷や汗が気持ち悪くて、心なしか視界もぐらぐらしている気がした。
「…?…あの、本当に…大丈夫ですか…??」
『っ…!!やっ、やめ…っ!、』
パン、と乾いた音がコンビニに響き渡る。
その瞬間、茶髪の人と目があった。
『あっ……その…っ、すみません…!!!』
目線を、その人の顔から足元に落とす。
すると、その人の靴が私から数歩離れた。
「……あの…間違いだったらすみません。
もしかして…男性が苦手でしたか…?」
『……っ、すみません…』
流石に騒ぎに気がついたらしいコンビニ店員さんが、バダバタとこちらへ近づいていた。
その靴の音しか、もう私の頭に入っていなかった。
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作者名:あおい | 作成日時:2018年7月14日 12時