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授業が終わった。待ちに待った休み時間だ。たかが十分休憩なのに皆は一斉に席を立ち遊びに行く。私も友達と雑談を始める。これも日常。普通の日常だ。
そんな時、私の視界に映し出されたのはやっぱり切島くんだった。男友達と楽しそうに話していた彼は何やら友達にひと言告げて教室を飛び出して行った。
「Aちゃん？」
「！あ、うん」
友達が私の名を呼んだ。少々反応が遅れてしまったのは切島くんに集中していたからだろうか。友達の話を右から左に流しながら私の頭の中は教室を出た切島くんの事でいっぱいになってしまったのだ。
「…ごめん、ちょっとトイレ行ってくるね」
いてもたってもいられなくなった私は友達にひと言詫びを入れてそそくさと教室を出た。廊下に出て周りを見るが切島くんの姿はない。彼は何処に行ったのだろうか。溜息をついてその場に立ちすくんでいたが隣のクラスから切島くんらしき後頭部を見つけて思わず身を隠した。理由は特にない。
「さっきは本当にありがとう」
「おう！いつでも聞くぜ！」
そんな会話が耳に入ってくる。内気そうな男の子と話すのは紛れもない切島鋭児郎くんで。私は静かに彼らの会話に聞き耳を立てていたのだった。
「また嫌がらせされたらいつでも俺に言ってくれよな！アイツらに一発お見舞いしてやる！」
「そんな…大丈夫だよ。話を聞いてくれただけでも本当に嬉しいし」
多分、これはあくまで私の予想に過ぎないのだが。きっと先程私が目撃した嫌がらせをされていた件の事だろう。顔までは確認出来なかったがあの男の子が大方被害者か何かだ。
「…」
トイレに篭っていた、なんて嘘だったのだ。切島くんはあの男の子の話を聞いていたんだ。授業時間を削ってまで、先生に嘘を吐いてまで。
「…変な人」
何も他人にそこまで干渉する必要はあるのか。分からない、私からしたら勉学の方が大事に決まってる。話を聞いたから何だって言うのだ。それで解決出来るのなら彼は嫌がらせなんてそもそも受ける筈がない。それに、話を聞いて欲しいのならわざわざ切島くんじゃなくたっていい。そうだ、それなら最初から先生に相談した方がよっぽど早い。そんなもんだろう。切島くんがしている事はただのお節介なのだ。
ひとつ小さな溜息を吐いて私は教室に戻った。次の授業は算数だ。早めに席について教科書でも読んでいよう。それか友達と中身のない会話でもして時間でも潰そう。そうだ、それがいい。それが一番良いのだ。
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前頭葉爆発(プロフ) - いくまさんの作品は何度みても色褪せなくて、毎回感動しちゃいます🥺 新作も続編も見たいです（欲望）誇張表現とか無しで本当に尊敬してる1番超大大大大大好きな作者様です！！身勝手ですがファンとして応援しています！無理せず執筆活動、頑張って下さい！！！ (8月26日 5時) (
レス) id: bc670cb629 (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - めちゃ面白いです！ (2022年1月8日 1時) (レス) @page14 id: 6b84f5d2ae (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - 本当に綺麗な文章でした(;_;)夢主視点で進む中で、境界線ってタイトルに相応しいぐらい二人の対比を見事に表現してて圧巻、脱帽です、、いくまちゃんの文字が本当に好きッ。 (2021年10月18日 19時) (レス) id: 1ceb99e799 (このIDを非表示/違反報告)
奏海(プロフ) - 切島くんのお話書いてくれてありがとう！いくまちゃんらしい作風というか、ベタな恋愛ものではないんだけど夢主の中にはずっと切島の存在があるっていうのがなんかすごい好きだった。最後の弔くん出てきた所で色んな意味で心臓ヒュってなりました。 (2021年10月18日 13時) (レス) @page23 id: d291d10447 (このIDを非表示/違反報告)
うぇすとり?ぁー(プロフ) - 初のヒロアカ夢とっても面白かったです！涙のシーン、挫折のシーン沢山の伏線が一気に最終章で回収されて鳥肌が今も止まりません！境界線のタイトルもとてもセンスがあって良かったです！次回作待ってます‼️ (2021年10月18日 0時) (レス) @page22 id: 9275faa17d (このIDを非表示/違反報告)
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