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158:ギャルと慈愛 ページ8

だから、“出来る”と判断した。

今なら出来ると。
この死のインスピレーションがある限り。

魂の輪郭を、意識する。


「…!?」

Aが殴ろうとした瞬間、彼女は異変に気づいた。
けれど、もう遅い。

「君は、離さないよ」

Aを捕え、口をぱかと開ける真人。


領域展開____『自閉円頓裹』


「A...ッ!!」

直前に悠仁が叫んだ。
閉じられる領域の狭間、Aは悠仁の姿をしっかりと捉えた。

視線が絡まり、そしてAは彼の奥深い所で何かと目が合った。
赤い瞳。




宿儺…!




伸ばす手は届かない。


無数の手が現れ、真人の領域は完成した。
その中に引き込まれたのは、七海とAだけであった。

真人はAの首を掴み、残虐な片手とは裏腹に優しく心臓の上を撫でる。


「今はただ、君に感謝を」









結局のところ、何度も死ぬ事を頭に描けていたのだが、いざ目の前にすると怖いものだなとAも七海も思った。

互いにそうだと言葉を交わしたことは無いが、二人は境遇が似ているので何時しか思う事が似るようになった。


今生きているのは、死に場所を探しているから。
死ぬのは自分だけで十分。


そういう思いが、今の今まであった。









浅く息をするA。
開かれた瞳は、睨みつけるように真人を目に映している。
けれど、抵抗出来ない。
反して、真人はAを慈しむような目で見る。
いや、少し違う。
慈しんではいるが、その中に愚かで哀れな色がある。
可哀想に、ここまで頑張ったのにね。

Aの身がかなり危険だ
七海は目の前の光景を瞳に映し思った。
真人との距離が近すぎる。アレでは、助けようにも手段がない。
それに、A自体の体も恐らくかなり危ない。

「殺しますか?」

七海は至極冷静に尋ねた。

「山々だけどね。殺しちゃダメなんだ。…領域内で殺さないようにする、そこまで器用なこと出来るかな」

くす、と真人は笑う。

そして、真人はAのだらりと垂れた手に指を絡めたかと思うと、そのまま無理矢理曲げAの腕を折った。

「い゛ッッッ………!!!」

Aの体に、痛みという電流が走った。
叫び声をあげるよりも痛みが上回っている。
真人は楽しそうに笑い、Aを七海へと投げた。
七海はほぼ反射的にAを受けとる。

Aは折られた腕を抑え、七海の肩口で歯を食いしばり痛みに耐えていた。

まるで、真人はオモチャを捨てるように投げていた。

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鼻毛太郎(プロフ) - 華花。さん» コメント有難うございます!これでいいのか...?と悩む時期が続いていた中、温かいコメントを頂けて本当に泣くほど感謝してます;;現在5章目を製作中なので、しばしお待ちを…!今後もギャルと呪術を宜しくお願い致します! (2021年4月21日 11時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
華花。(プロフ) - いつも緊張して送れませんでしたが初コメント失礼します!もう作者様は言葉選びから構成まで最高すぎます…素敵な作品を生み出してくれてありがとうございます! (2021年4月20日 23時) (レス) id: 2bd2296ed7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2021年3月1日 0時

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