157:ギャルと死 ページ7
改造人間は止まってくれない。
大切な師の一人が、殴られ蹴飛ばされ立てなくなろうが止まってくれない。
いや、倒せば止まってくれる。
けど、だけど、でも、これは。
肩で息をし脇腹を抑えるAを尻目に、真人は七海へと向き直った。
「面白くなってきたなぁ。彼女と君、ぶつけるのも面白いかな。虎杖悠仁と戦わせるのもありだけど、虎杖悠仁こそ彼女をぶつけてやりたいよね 」
くく、と真人は笑う。
泣いちゃうかな、と。
七海はそんな真人の言葉を聞き、ため息を吐き出した。
やれやれ、愚かな奴だ。
「全く、Aさんを分かっていませんし彼の事も分かっていませんね」
真人は首を傾げる。
「Aさんは殴られて黙っている程、馬鹿ではありませんよ」
七海が告げたと同時、Aが叫んだ。
「悠仁ィッッ!!」
荒く息を漏らし、血反吐を吐き。
その姿は普段の煌びやかな彼女から想像もつかなかったが、この姿こそ本来のAであった。
気高くも泥臭く、泥沼を汚れながらもずんずん突き進む。
己を信じ、死ぬ事がない限り。
彼女は成すべき事をし、自身に出来る限りの教育をする。
それこそが、今自分が出来ることだとAは判断した。
「どうしたいか考えろッ!!命の法則ねじ曲げんのが、どういう事か考えろ…ッッ!!」
悠仁はその言葉に、目を見開いた。
自分の上に馬乗りになる改造人間。
彼らは、全てを無視して捻じ曲げられた。
命があるべき進み方を、全ての道を突然折られた。
それがどういう事か、考え、導いた。
悠仁は、答えを導き出した。
「愚かだねぇ、相手は馬鹿なガキだよ?現実と理想の擦り合わせが出来ていない、馬鹿なガキ」
真人が呪力を溜め始めた、瞬間。
頭上でパリンと音がなったかと思えば、落ちてきた悠仁が真人の腕を踏み潰した。
解放される七海、回避する真人。
彼の前に対峙する悠仁の顔は、馬鹿なガキでは無かった。
真人は彼の表情に、思わず興奮冷めやらぬ笑みを浮かべた。楽しくて仕方がない。
しかし、楽しむ暇も与えられない。
後ろに回り、鉈を振り上げる七海。
真人が形を変える前に殴る悠仁、よろけた所に叩き込む七海、そして的確にクリティカルを叩き込むA。
まだ動けたのか、バケモノ。
形を変える暇もなく、殴られ続ける真人は思った。
真人の目に、Aが映った。
その瞳、真人が見たどんな生物よりもバケモノ。
その瞳を前にして、真人は死を覚えた。学習した。
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鼻毛太郎(プロフ) - 華花。さん» コメント有難うございます!これでいいのか...?と悩む時期が続いていた中、温かいコメントを頂けて本当に泣くほど感謝してます;;現在5章目を製作中なので、しばしお待ちを…!今後もギャルと呪術を宜しくお願い致します! (2021年4月21日 11時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
華花。(プロフ) - いつも緊張して送れませんでしたが初コメント失礼します!もう作者様は言葉選びから構成まで最高すぎます…素敵な作品を生み出してくれてありがとうございます! (2021年4月20日 23時) (レス) id: 2bd2296ed7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2021年3月1日 0時