194:ギャルと間違い探し ページ44
棘の片手に応え、Aは地面へ飛び降りた。
スタ、とピンヒールで降り立つA。
相変わらず有り得ねぇ、この人。棘は内心思った。
「何、棘。幾ら楽巌寺のジジイを負かしたいとはいえ、私は手ださねーよ?」
「おかか」
「そりゃ失礼しました、そんな顔して『違う』って言わんでもいいっしょ」
眉を眉間によせAの前にバツ印を出す棘に、Aは全くもーと肩を竦める。
遠くで破裂したような激しい音が響いていた。
方角的には野薔薇の方だろうか。
Aは棘に目を向け、「少し散歩する?」と尋ねると棘は素直にこくりと頷いた。
「で、なんだねAさんを呼んだのは」
ぶらぶらと二人で森を歩く。
棘は自身の使命を忘れていなかったようで、時折口元のジッパーを降ろしながら辺りを確認していた。
「明太子、ツナマヨ」
「あぁ、その件で私に報告?うん、知ってた」
悠仁の暗殺の件をAに話すと、Aは平然とした顔で返した。
Aは、手持ち無沙汰にマイクをくるくると回しながら続ける。
「どうにもならないようなら手を出す気で居たんだけど…」
ぽん、Aは言いながら棘の頭に手を載せた。
「君らが滅茶苦茶成長してっからさ、やる事なくなっちゃった」
Aは満足そうに笑う。
「おかか…」
「だーいじょーぶだよ〜、仕事しろなんて言われなくてもAさんはやればできるギャルなので、いざとなったらマッハで対応するって」
本当かな、棘はじとーっとした目をAに向けた。
Aの適当さは五条にも勝る。
棘はAの言葉に返そうと口を開きかけた。
途端。
「待て」
Aが棘の前を片手で遮った。
棘は突然の事に驚き、Aの顔を垣間見る。
Aがやけに森の中を神妙に見回していた。
「木の本数が増えてる」
棘は顔を顰めた。
「ツナ」
そんな馬鹿な。
Aと同じように棘は辺りを見回した。
しかし、そんな様には思えない。
というか、同じ景色がランダムに続いているのに、本数が増えたなんて分かるものだろうか。
思いすごしでは?
Aは棘から少し離れ、木の幹を撫でた。
「いいや、増えてる。この幹、エグれてるでしょ」
Aは後ろ手でその部分を指し示す。
棘がまじまじと見れば、確かにAの言う通り幹が抉り取られていた。
「これね、この前真希と呪具の訓練してる間についた傷。そして、この隣には木が続かない」
なのに。
「…高菜」
いくつも木が続いていた。
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鼻毛太郎(プロフ) - 華花。さん» コメント有難うございます!これでいいのか...?と悩む時期が続いていた中、温かいコメントを頂けて本当に泣くほど感謝してます;;現在5章目を製作中なので、しばしお待ちを…!今後もギャルと呪術を宜しくお願い致します! (2021年4月21日 11時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
華花。(プロフ) - いつも緊張して送れませんでしたが初コメント失礼します!もう作者様は言葉選びから構成まで最高すぎます…素敵な作品を生み出してくれてありがとうございます! (2021年4月20日 23時) (レス) id: 2bd2296ed7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2021年3月1日 0時