193:ギャルと大人の階段 ページ43
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一方、モニターを見る面々。
通常モニターが各生徒の戦闘を映す中、Aの肩に乗る鴉だけがAの顔を映していた。
『あっちでは真希と三輪ちゃん、おっもしかして真希勝っちゃった!?向こうはパンダとメカ丸君だねぇ、えぇ!?恵は加茂クンと!?うわっブチ上がりしちゃう。鴉チャン、クッキー食べる?あげよっか』
Aは小袋を取り出すと、中からクッキーを一欠片摘み鴉にやる。
時折鴉の目を通しモニターに映るのは、足元に広がる木々達。
見ていた夜蛾が一番にため息をついた。
「バカと煙は高いところが好きだからな…」
「…さっさとあの不届き者を呼び戻せ」
「無理ですよ、学長。あのAが『はいそーですか』って戻ってくる訳無いんですから」
歌姫はため息をつく。
Aは自分が満足するまで自由に動く、そういう生き物だ。
「あの子は金で動く訳でもないからね…」
冥冥が言うと、聞き逃さなかった五条が「へぇ、」と呟く。
「それ、冥さんは動くってこと?」
目隠しの奥はどんな瞳をしているのか。
きっと、心底性悪な瞳だろう。
ニタニタした笑みを浮かべ五条が尋ねると、冥冥は「私は金の味方だよ」と静かに返した。
『なんかもういいや〜、君好きなとこ行きな?私、自由に観覧する側に回るわ』
「ついに本格的に飽きたか…」
やれやれ、歌姫は頬杖をつく。
鴉がAから離れたからか、モニターの映像は空の視点に変わった。直にいい場所を見つけ、生徒達の姿をモニターに映してくれることだろう。
「あーあ、Aが見れなくなっちゃった」
五条が至極残念そうに呟く。
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「思い描いてたよりも平和かも〜」
Aは鴉の後ろ姿を見届けながら、木の上で伸びをする。
悠仁が一気に射撃を受け東京校の駆けつけが間に合わなかった場合、Aは一気に五人__東堂は上手い事言えば味方についてくれるだろ__を相手しなければならないのかと覚悟していた。
けれど
Aは、ふふと笑みを浮かべる。
「ガキんちょ共を舐めすぎてたみたい」
東京校の面々は、Aが想像していたよりぐんぐん成長を遂げていた。
「はぁ〜、親離れされる感覚ってこんな感じなのかなぁ。A、寂しいなぁ」
両頬に手を添え頬杖をつきながら、Aはわざとらしく頬を膨らませた。
「高菜」
ふと下からおにぎりの具が聞こえた。
Aは視線を下にやる。
「やっぴー、棘」
木の根元近くに立ち、見上げる棘は片手をあげる。
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鼻毛太郎(プロフ) - 華花。さん» コメント有難うございます!これでいいのか...?と悩む時期が続いていた中、温かいコメントを頂けて本当に泣くほど感謝してます;;現在5章目を製作中なので、しばしお待ちを…!今後もギャルと呪術を宜しくお願い致します! (2021年4月21日 11時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
華花。(プロフ) - いつも緊張して送れませんでしたが初コメント失礼します!もう作者様は言葉選びから構成まで最高すぎます…素敵な作品を生み出してくれてありがとうございます! (2021年4月20日 23時) (レス) id: 2bd2296ed7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2021年3月1日 0時