184:ギャルとウワサの ページ34
そんな歌姫の言葉に、Aはふふんと笑う。
「歌姫の為ならいつでも空けるよ。私の大切な人だからね」
大切な人。
Aの顔と言葉を前に、歌姫を一瞬呆気に取られた後体の空気を抜くようため息を漏らした。
「あー、そうね…アンタのそういう言葉と顔で、あのバカ惚れさせたわけか…もう最っ悪」
あんな奴とAが…
零す歌姫に、Aは首を傾げた。
「何それ。何の話?」
「はぁ?アンタ、自分の彼氏忘れちゃったの!?辞めてよね、”例の話”のおかげで界隈大騒ぎだったのよ!?」
「例のって、」
「はーーい、どいてどいてー!!」
突然、Aの声を遮り走ってきたのは五条。
荷台に詰んだ荷物を押し、長い足でこちらに駆けてくるかと思えば、そのまま勢いよくAと歌姫の間に突っ込んだ。
「あっ、ぶないわねぇ!?何すんのよ、アホッ!」
間一髪で避けた歌姫。予め言っておくと、歌姫は五条の事がかなり本気で嫌いだ。
だからこそ“例の話”が気に食わない。
一方、五条は爽やかな調子で笑みを浮かべると、片手でAの腰を抱き寄せた。
「仲良さそうだから、嫉妬しちゃった。僕のだよ、あーげない♡」
「クッ……ソムカつくッッッ!!!!28歳がハートつけて喋んな!!」
「31歳のヒスは見苦しいよ〜?」
バチバチと視線同士を稲妻で結びつけ、散らす火花からは一体何ボルトが生まれているのだろうか。
大人の子供なやり取りを前に、野薔薇が呟く。
「本当にあの二人付き合ってんだ…私、五条先生が勝手に流した妄想かと思ってたわ」
「そこまでヤバくねーだろって言いたいけど、この話に関しちゃ私もそう思ってたよ」
真希が続く。
「明太子、高菜」
「まぁ、確かに悟とAで9:1ぐらいは愛情差分あるだろうけどな。でもアレだろ、Aが悟にデレデレしてんのは想像できねーよ」
パンダの言葉に全員その姿を想像してみるが、やはり違う気がする。
そんな中、伏黒だけがずっと静かだった。
じっと二人の動向だけを眺めている。
「なんだよ、伏黒〜初恋のAさんが取られて悲しいか〜?」
「いつそんな話したんだよ」
つんつんと脇腹を突く野薔薇の腕を払いながら伏黒は返す。
「ただ、」
「ただ?」
「…俺にはそう見えない」
あの二人が付き合っているようには、俺には見えない。
伏黒の言葉に、東京校一同は顔を見合せ首を傾げた。
確信はないけど、俺にはそう見えない。
寧ろ、前より近いようで遠い。
絶対に何かある、あの二人。
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鼻毛太郎(プロフ) - 華花。さん» コメント有難うございます!これでいいのか...?と悩む時期が続いていた中、温かいコメントを頂けて本当に泣くほど感謝してます;;現在5章目を製作中なので、しばしお待ちを…!今後もギャルと呪術を宜しくお願い致します! (2021年4月21日 11時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
華花。(プロフ) - いつも緊張して送れませんでしたが初コメント失礼します!もう作者様は言葉選びから構成まで最高すぎます…素敵な作品を生み出してくれてありがとうございます! (2021年4月20日 23時) (レス) id: 2bd2296ed7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2021年3月1日 0時