【呪術廻戦】ギャルと呪術-3-

147：ギャルと真相 ページ47

猪野はAの恨めしい視線など気にもしず、｢で、真偽の方は！？｣と詰め寄った。

Aは口をもごつかせる。
すると、七海が代わりに口を開いた。

｢本当ですよ｣

Aは急いで七海を睨む。
なんで言うんだよお前、と。
しかし、七海はしらーっとした顔でシカトを決め込む。

猪野は言葉を聞くと、｢やっぱり！！？｣と大きく声を上げた。

やっぱり？

猪野の言葉に、Aは顔を顰めた。
猪野は煙草を指に挟んだまま喋り出す。

｢俺、実は前々からお似合いだなぁって思ってたんスよー！いや、だってさ二人ってそもそも仲良いじゃん？距離感だって近ぇし、アレで付き合ってないんだからあの人ら変わってんなぁって思ってたんだよね｣

すぅ、と吸って煙を吐くと、猪野はまた続ける。

｢だから、二人が恋人になったって話聞いても俺あんまり驚かなくて。あー、やっぱねー！って感じでさ｣

Aは煙草を指に挟んだまま、猪野の言葉に呆気にとられていた。
私達はそんなふうに見えていたのか、と。

｢前に1回見たことあるんだよね｣

唐突に猪野が切り出した。

｢なんかの集まりだったかな。五条さんがどっか見たままボーっとしてるのを見た事があって、へーこの人でもボーッとすんだなぁとか思ってさ、何見てるのかその先を俺も見たのよ｣

そしたらさぁ、と猪野は続けて話す。

｢Aさんだったんだよね。あの人目隠ししてっから、どんな目してたかは分かんなかったけど、あれ絶対優しい顔してたわ。ひと目でわかったね、｣

猪野はそのまま話し続けた。


｢あー、好きなんだなぁって｣


ぽろ、Aの手から煙草が落ちた。
七海はその煙草を目で追う。
Aが拾い上げる事は無い。
ハッとして、七海はAの顔を見た。


Aは固まっていた。
雷に打たれたような顔をして、手だって煙草を持っていた形のままだ。
緑の瞳は丸く見開かれ、口は半開き。


｢え、俺なんか悪いこと言っちゃいました！？｣

あまりにも黙っているAに、猪野は焦りながら七海とAを交互に見る。

｢それ、いつの話…？｣

漸くAが口を開く。

｢一昨年…ぐらい…？｣

何故こんなにもAが真剣に聞くのか、猪野は全く分からないまま問われた言葉に正直に返す。

一昨年。

Aは言葉を聞くなり、顔を覆った。



｢なにそれ、聞いてないってば………｣



Aは気づいてしまった。

フリだと思ってた。
気まぐれだと思ってた。


違った。
全部最初から違ったんだ。

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