【呪術廻戦】ギャルと呪術-3-

105：ギャルと男 ページ5

硝子はデスクに片頬杖をつき、五条を品定めするような目を向けた。

別に、五条とAが一緒になって欲しいなんて思ったことは無い。
五条然り、夏油然り、クズな二人がなんであの人と。
Aは、派手だし煙草も好きだし酒も好きだし悪ノリ大好きで自他共に認めるギャルだ。

悪い事はなんでも教えてくれる、夜みたいな人。

けれど、あの人ほど生き方に正直で心の底から人間らしい人は早々居ない。

硝子は、Aを一人の先輩として、人間として、女として、大好きだ。
尊敬もしている。

そんな人が暗い顔をするのは、やっぱり見ていて苦しい。



五条、お前は気づかないのか？
お前は、あの人を救える素質があるんだぞ
誰にも出来ない事なんだよ。だから、私は苛々するんだ
お前にしか出来ないんだぞ



硝子はすっと息を吸い込んだ。
この意気地無しめ。

｢五条、｣

呼ばれた通りに五条が反応する。
そして、硝子は正面から言ってやった。


｢お前に金〇はついてないのか？｣


暫し沈黙が起こる。
五条は先程の硝子と同じように息を吸い込んだ。


｢〇玉ついてるに決まってんだろッ！！！｣


｢じゃあ男を遂行しろよ｣

ついてるものがついてるなら。
硝子が鬼のような目を向けると、五条はぐぅっと悔しそうな声をあげ押し黙る。


そんな矢先だった。


廊下の方から何やら言い争う声が聞こえる。
Aの声だ。
医務室に居た二人はほぼ同時に気づき、顔を見合わせた。
そして、言い合わせる事もなく医務室の扉を静かに開け、外の様子を伺う。

｢ふざけんな！夜蛾ちゃん頭おかしいのか！？｣

｢だから、俺が決めたんじゃないとさっきも言っただろ｣

｢だったら、断ってくれりゃいいじゃん！｣

｢俺が言って何とかなる話か？…上層部は、今回の件で遂にお前の行動を制限しようと身を乗り出したんだ｣

｢だからって私には拒否権なしかよ！！頭、沸いてんじゃねーの！？｣

珍しく夜蛾とAが言い合っている。
覗き見る五条と硝子は、その光景を眺めながら会話する。

｢なんだあれ｣

｢A先輩と学長が言い合いなんて、珍しい事もあるものだ｣

｢あの二人って、僕らが入学した頃から仲良いよな。親子かって疑うぐらい。でもたまーに、喧嘩すんだよね｣

その喧嘩も、本当にごくたまにだ。

Aは普段、掴み所ない声音とギャル特有の気だるさがある口調で話す。
しかし、今現在は感情を露にしている様子で口調が乱れている。
夜蛾もその様子で、一人称が変わっていた。

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