【呪術廻戦】ギャルと呪術-3-

140：ギャルと戦後 ページ40

声を上げて笑う裸体の青年。
呪霊、真人。

「見掛けによらず無茶するなぁ、あの二人」

真人は至極嬉しそうに言った。

「随分派手にやったなぁ」

今一度周りの光景を目に映しながら、夏油は言った。
彼の存在に気づいた真人は、無邪気な顔を向ける。

「面白い奴らだった。色々勉強になってね、磨り潰されても魂の形さえ変えれば死にはしないみたいだ。自分の魂をどれだけ弄ってもノーリスクみたいだし。可借夜Aが言ってた言葉も、案外正解かもしれないね」

疑問符を浮かべる夏油。

「魂と肉体は引力で惹かれあっている、だよ。肉体も魂も、糸が切れていない限りは死にはしないってこと」

彼女とまた話してみたいなぁ、と真人は呟く。
夏油はやれやれと眉を下げた。

「それが可借夜Aの引き寄せ体質だよ。丸め込まれてるぞ、真人」

真人はぽかんと口を開けたあと、「そうか、これが…」と小さく呟いた。
そして、無邪気に笑い夏油へと「まんまと手の上で転がされてたわけだ」と返す。

「で、呪術師二人は？死なれちゃ困る」

後半は、Aに向けてだ。

「一度退くってさ。可借夜Aは帰るって言い切ってたし」

真人は言いながら、瓦礫に目を向ける。

「可借夜Aは殺さない、って約束だったからね。“俺は”殺してないけど……瓦礫はどうかな」

「巫山戯るのはよして欲しいな」

夏油は短く息をつく。
しかし、可借夜Aが瓦礫如きで死んだとも思えない。

真人は、くすりと笑いながら言う。

「可借夜Aかぁ……やっぱり、もう一度会いたいなぁ」




＿＿＿＿。

「ふぅ……」

伊地知からの電話を切った七海は、壁に凭れかかった。
ズキズキと脇腹が痛む。
もう幾つかティッシュをダメにした。
持ってきたハンカチは、血を抑えるので精一杯だ。

男子トイレの手洗い場は血塗れ。

七海はつい先程の戦闘を思い出す。
厄介な呪霊だった。

生まれて対して時間も経っていないだろうに、あの呪霊は戦闘の中で自分が成長する事に喜びと楽しみを見出している。
おかげで、急速なスピードで力をつけている事は明白だ。

早急に祓わねば。

七海は長く息を吐いた。

バタン、と突然トイレの扉が開く。

「なーなみくーん！」

「…」

やってきたのは、A。
そして、彼女は七海の姿を見るなりずかずかと男子トイレへ侵入してきた。

「あらぁ、酷い傷だねぇ」

まじまじと七海の傷を眺め、Aは言う。

「貴方は予告通り無傷ですね」

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