【呪術廻戦】ギャルと呪術-3-

137：ギャルと魂の形 ページ37

真人の顔は、既に元に戻っている。


あの呪霊…反転術式の速度が早いな
…サンプルに一部を持って帰ってもその一部から再生されそうだ
アイツを回収するのは、あまり得策じゃないか


いい研究素材だと思ったんだけどな。と、Aは内心思う。

｢気にせず続けようよ｣

軽薄な笑みを浮かべ、こちらに言う真人。
七海は低く言葉を返す。

｢気にしてなどいません。仕事に私情は持ち込まない主義なので｣

七海は言いながら、改造人間の涙を拭ってやった。
その言葉と対応に、真人は吹き出す。

｢嘘が下手！魂が揺らいでるよ？｣

Aは彼の態度にムッとする。
七海は、人間と改造人間を割り切っているつもりだ。
だけど、それでも彼なりの良心がある。

それを笑ってやる姿は、かなり許せない。

｢ムカつく野郎だな。テメェも目から汗流させてやるよ｣

パキ、とAの指の骨が鳴る。
真人は｢怖いなぁ｣と態とらしく首を竦めて見せた。

｢可借夜Aは…変わった魂の形をしているね。後でじっくり見るとして……ねぇ、君たちは何級？｣

｢一級｣

七海の言葉の後、真人はAへと回答を促す視線を向ける。

｢未階級｣

Aの言葉に、意味ありげな笑みを真人は浮かべる。

｢そっか、強いわけだ…。未階級ねぇ…うん、俺が決めてあげるよ。俺は運がいいね｣

感謝するよ、言葉と同時だった。

｢七海ッ！！｣

Aの隣、七海の腹部に触れる真人の姿がそこにあった。
なんて移動速度だ。

七海の腹部にかけて、呪力が走る。
Aが急いで駆け、真人に攻撃を入れようとしたがすぐに退却される。

見れば、真人の足は馬の足のような形に変わっていた。

｢七海、大丈夫か？｣

｢ええ…今のところは｣

二人は真人に目を向ける。

｢魂の形を変えてあげようと思って。アンタは、無意識に魂を呪力で守ってるみたいだね。…まぁ、あと2、3回触れて人間やめさせてあげる｣

真人の手に、どす黒い呪力が宿る。

｢七海、｣

Aが小さく呼んだ。

｢“時間内”のうちはサポートに回れ。…思うところがある｣

｢…？｣

｢さっき殴った時、どうも変な感じだと思ったんだ。……魂に触れられる。アイツは、私の魂を不思議な形だって言った。…それって、私の中に居る呪いのせいだよな｣

七海はAの言葉にハッとした。
Aは面白そうに、しかしどこか緊張感を感じた表情を見せる。

｢やめてください、無闇に触れられるのはリスクが高すぎる｣

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