【呪術廻戦】ギャルと呪術-3-

134：ギャルと倫理の法則 ページ34

あの夜。
そう、白い呪霊を追いかけたあの夜。

七海はそれを把握したあと、｢影響は？｣とAに尋ねた。

｢ない｣

今のところは。
あの時から1ヶ月以上も経っている。
長い期間を経ても影響が出ていないということは、体に支障が出るものでは無いということ。
けれど、やはり脳を弄られたのは気に食わない。

｢意地でもあの日の事を聞き出す｣

Aは静かに呟く。

｢ねぇ、｣

ふと、呪霊が口を開いた。

｢二人はさ、魂と肉体…どっちか先だと思う？｣

Aと七海は眉を潜めた。
呪霊がなんの為に聞くのかが分からない。
罠かそれともただの質問か。

｢可借夜Aはさ、特にそのあたり詳しいんじゃない？ほら、君の領域展開はそういう術式なんでしょ？｣

呪霊の言葉に、術師二人は黙った。
恐らく、二人が今頭に描いている事は同じ。

｢…貴方、知られすぎでは？｣

｢私が馬鹿みたいに言いふらしてると思ってんのか？｣

半笑いで七海に目を向けると、七海は短く息を吐く。

｢分かってますよ。彼の仲間内に、貴方に詳しい奴がいる｣

ですよね？と、Aに視線を向ける。

呪霊か、呪詛師か。

Aはパキ、と腕の骨を鳴らし｢私も有名になったもんだ｣と呟いた。
それでも、領域展開をAがしたのは数える程。
一体どこから情報が漏れているのか。

｢答えてよ｣

継ぎ接ぎの呪霊が急かす。

｢肉体に魂が宿るのかな。魂に体が肉付けされているのかな｣

くすり、と笑いながら呪霊は言う。

｢前者｣

七海は最低限の判断をした上で、呪霊へと答えた。
呪霊の目が微かに弧を描いた途端、Aの言葉が割って入った。

｢どちらでもない｣

呪霊は興味深そうに顎を撫でる。

｢正しくは、肉体と魂は同時に生まれ引き合う。魂は生まれた瞬間、何処の肉体に入るのか本能で分かっているし肉体もまた同じ。二つは同時に引き合うんだよ、引力でね。引力で結ばれている限り、魂も肉体も離れる事はない。君さぁ、肉体は魂の形に引っ張られるとか思ってね？｣

Aは口元を釣り上げ、ギラついた瞳を向ける。

｢だから生まれたんだろ、テメェの術式がよ｣

呪霊は、Aの言葉にふふと笑った。
彼の腕は既に完治している。

｢やっぱり、君に会いに来て良かったよ。こんなに会話が楽しいなんてね。口は悪いけどさ、君って凄く人間らしい｣

呪霊の手の中で、小さな塊がビキビキと変形する。

来る。

術師二人は構える。

｢魂に触れ、形を変える＿＿＿『無為転変』｣

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