【呪術廻戦】ギャルと呪術-3-

133：ギャルと似たもの同士 ページ33

戦いを運動の如く楽しむ子供の様な心。
度々見せる獣のような瞳。

Aさんに似ているかもな

Aが地を蹴り、呪霊へと回し蹴りを喰らわす。
それを避ける呪霊に、七海は追い討ちをかける。


いいや、だがこの絵に描いたような軽薄さはAさんじゃない


七海の頭に浮かんだのは、五条であった。
彼が思うに、Aと五条は似ている。
特に、戦闘への昂り方だ。
狩りをするように、敵を追い詰めていく戦法。
瞳に宿るのは、無邪気さとドス黒い邪気。

だが、微妙に違う点がある。
それは、自身が誰にも負けないと自負しているかどうかだ。

目の前の呪霊も、まさしくそれだった。

だから、Aよりも五条に似ている。


Aの蹴りが異常な速度を帯び、呪霊の脇腹に叩き込まれる。
その怯んだ隙を見逃さなかった七海は、遠心力を存分に与えながら鉈を呪霊の腕へ振り下ろした。

Aの打撃に怯みながらも、七海への攻撃に備えたはずが手首がちぎれてしまう呪霊は不思議そうな顔を見せた。

｢可笑しいな。可借夜Aの蹴り、避けたはずなんだけど｣

｢Aさん、術式を使いすぎないでください｣

｢言ってる場合かよ。アイツ、結構面倒だよ｣

呪力を縛っているとはいえ、Aの蹴りは引力により加速し倍のパワーがあったはず。
それなのに、呪霊は怯む程度で済んでいる。

｢うーん、呪力で受けたんだけど…そういう術式？｣

｢そういうとは？他人任せな質問は嫌いです｣

七海の返答に、意味ありげに笑う呪霊。
その笑みを皮切りに、呪霊が動いた。

｢捕まえた｣

Aに巻き付くのは、変形した呪霊の腕。
七海が鉈を構えるよりも早く、呪霊の手はAを捕らえたまま形を戻し距離を縮めた。

｢…ッ｣

鼻先が掠れるぐらいに顔を近づけられる。

｢あの時以来だね。ふふ、頭はもう大丈夫かい？｣

呪霊の言葉にハッとするA。

尋ね返すよりも早く七海の鉈が、Aを捕える腕に振り下ろされた。
呪霊は瞬間的にAを離し、腕を引っこめる。

｢Aさん、怪我は？｣

距離を取り七海が尋ねる。

｢ない。七海、アイツ未登録の特級だ。私と悟を襲った呪霊と徒党を組んでる｣

七海は瞳を微かに小さくする。
説明を求めるよう視線を向ける前に、Aが小さく呟いた。

｢私が全部忘れてる理由が漸く分かった｣

Aは鋭い視線を、目の前の呪霊に向けたまま口を開く。

｢襲われたあの夜、アイツに脳を弄られたんだ。私とコイツは、会っている｣

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