【呪術廻戦】ギャルと呪術-3-

123：ギャルと境界線 ページ23

悠仁も同様に呪霊の姿を確認すると、傘をAに渡し拳を構える。
しかし、すぐに七海が制した。

「こちらは私が片付けます。虎杖君は後ろの一体、Aさんは水溜まりのを」

悠仁はハッとして背後を確認すると、別の呪霊が柱の隙間から顔を覗かせていた。
気づかなかった。三体もいるなんて。

Aは傘を畳むと、コートのフードを被る。

「雨濡れたくねぇけど、しょうがないね」

「Aさん、やれますか？」

「七海クン、私の事をお嘗めになっているのかな？やれるよ、あの程度の呪霊ならね」

Aが祓う事になった呪霊は、液体に同化できる呪霊らしかった。
水溜まりから水溜まりへ移動している。
厄介な呪霊だが、Aならばわけない。

「虎杖君、勝てないと判断したら私かAさんを呼ぶように」

「…ちょっと嘗めすぎじゃない？俺のこと」

悠仁は肩を落とす。

「嘗める嘗めないではありませんよ。君が幾つかの死線を超えたとしても、君は子供。私達大人は、君達子供を優先する義務があります」

七海はずると背から鉈を抜き取る。
Aは何時でも動けるよう、軽くジャンプを二、三度する。

「ガキ扱いなら、嘗められた方が良かったよ！」

悠仁は戦闘態勢を構え直し、やけくそに言った。
けれど、七海は表情を崩さず淡々と告げる。

「だからって大人になれる訳でもないでしょう。枕元の抜け毛が増えていたり、お気に入りの惣菜パンがコンビニから無くなっていたり、」

Aは七海の言葉を聞きながら、七海らしいなと笑う。
七海は呪霊に向かって鉈を構えた。

「そういう小さな絶望の積み重ねが、人を大人にするのです。」

そんな事を言われても、と悠仁は顔を顰めた。
納得出来ない事の方が多い。

悠仁は目の前の呪霊に向き直る。
さて、どこから攻めていこうか。
すると、Aが隣にやってきながら悠仁の名を呼んだ。

「悠仁、今日のレッスンを開始しようか」









雨の中、立ち向かってくる呪霊相手に七海は少ない動きで避ける。
七海は攻撃を避けつつ、自身の術式説明を開示も兼ねて悠仁へ行っていた。


やっぱり、七海の術式は私と相性悪いんだよなぁ


Aは自身に割り振られた呪霊の動きを監察しながら考える。
Aは人間であり、体を自在に変化する事が出来る訳でもない。
やはり、術式は基本強い弱いではなく相性なのだと思い知らされるな、とAは内心思う。

「聞いてますか、虎杖君」

「え！？俺に言ってたの！？」

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