【呪術廻戦】ギャルと呪術-3-

120：ギャルと関係性 ページ20

勢いよく振り向いた七海の顔は、『君、本気で言ってますか？』と至極嫌そうな顔だった。
Aは横で耐えきれないと、ゲラゲラ笑い声をあげる。

悠仁は思わず、｢あれ、俺そんなに変な事言ったかな…｣と零した。

｢…自覚ないんですか君は｣

七海は大きくため息を吐き、サングラスを押し上げる。

｢悠仁、仲良かったらなんでも付き合ってるのか聞いちゃうのかぁ｣

Aは未だにひぃひぃ笑っていた。
目尻の涙を拭いながら、Aは｢私がコイツの事可愛がってるだけだよ｣と続ける。

｢前に弟居るって話したっしょ？うちの弟も金髪でさぁ〜、七海と似てんだよね〜｣

この無愛想でふてぶてしい感じとか、とAが付け足すと七海は｢余計なお世話です｣ときっぱり返す。

｢虎杖君、それ五条さんの前では言わないように｣

七海の言葉に、Aが悠仁よりも先に｢え、なんでよ｣と尋ねる。

｢嫉妬で殺されるからです｣

｢そんな事でアイツ嫉妬しないでしょ。大体、私と悟は本当に付き合ってるわけじゃないし｣

Aが言った途端、七海はサングラスの奥から物凄い視線を浴びせてきた。
それこそ、『本気で言ってますか？』の目だ。

｢えぇ…何、その目は｣

｢いいえ、別に｣

ぷい、と顔を背ける七海にAは話は終わってないぞと説明を求め続けるが、七海は慣れた様子で無視をする。



悠仁は一連のやり取りを眺めていた。
やっぱり、Aは“言い聞かせている”みたいだ、と感じる。
パッと思ったのは、『付き合ってるの？』と聞いた時の反応が七海と五条で全く違ったことだ。

勿論、悠仁はそんな事を探れるほど器用じゃない。
ひたすらに無自覚だが、今二人に尋ねた時「あ、違う」という事だけは直感で感じた。


Aは、なんで“恋人のフリ”を自分に言い聞かせるよう言うんだろう。
Aは、五条先生のことどう思ってるんだろう。



悠仁は不思議そうにAの後ろ姿を眺める。


「虎杖君、」

呼ばれた悠仁はハッとする。
Aと七海は随分先の方を歩いていて、不思議そうに立ち止まっている悠仁を見ていた。

「追いますよ」

七海の言葉に、悠仁はパシッと掌に拳を打ち付ける。

「押忍！気張ってこうぜ！」

「いいね悠仁！七海、気張ってこうぜ！」

Aも悠仁と同じように拳を打ち付けたが、七海は相変わらず冷めた様子で「そこそこでいいです」とあっさり返した。

121：ギャルと禪院→←119：ギャルと残穢を見よう

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す