【呪術廻戦】ギャルと呪術-3-

119：ギャルと残穢を見よう ページ19

｢見えますか？これが呪力の残穢です｣

知り合ったばかりの七海に言われ、悠仁は目の前の光景を眺める。
目の前に広がるのは自分がよく知っている通りの映画館であり、七海の言う“残穢”は見えなかった。

客席の間を練り歩くAを横目に、悠仁は｢いや、全然見えない｣と返すと食い気味に七海が言葉を述べる。

｢それは貴方が見ようとしていないからです｣

七海はきっぱりと悠仁に返すと、残穢とは何かを至極丁寧に説明した。
引率したAよりも随分教師らしい、と悠仁は思ってしまう。

｢残穢は呪霊などに比べ薄い。目を凝らしてよく見てください｣

｢おいおい七海ぃ〜、残穢なんて時間が経てば誰にでも見えるようになるよ〜｣

客席を粗方見終えたAが戻ってくる。
たった三人しか居ないシアタールームだからか、Aの声がよく響く。

｢誰でもは見えないでしょ｣

七海はため息混じりに返した。

｢貴方はどうだったんです？入学当初は、元々呪術の知識は無かったって聞きましたけど｣

｢ん？そりゃもう、目をこうぐわっとしたら見えるーー！って感じで、それ繰り返してたら勝手に見えるようになったよ｣

親指と人差し指で目を見開かせる真似をするA。
全く参考にならなければ、聞いた方が馬鹿だったとまで思う七海。

｢聞くんじゃなかった｣

思わず七海は小さく呟いた。
悠仁はAと同じように目を見開かせ精神を集中させる。
すると、薄らと現れる足跡に悠仁は｢見えた！｣と声を上げた。

｢よーーし、よくやったぞ悠仁！！｣

｢見えて当然です。見る前に気配で悟って一人前ですから｣

Aに褒められたのは嬉しかったものの、すぐさま七海の言葉が悠仁へと追い討ちをかけた。
悠仁はじとりとした目で七海を見るが、彼は何も返さずすたすたと歩き黄色いテープを潜り抜けていく。

｢七海センセイは褒めるの苦手だものね｣

ぷぷ〜っと、Aは七海の顔を覗き込みながら厭らしく言ってやると、Aの顔面を正面から掴み｢覗きこまないで下さい、腹立つ｣と顔を背けさせた。

｢もーー七海！先輩に対する態度かねそれは！！？｣

｢煩いです｣

｢おーおー、七海よ。君がそういう態度ならね、私も考えるよ？泣くぞ。大声で。｣

館内の廊下を歩く二人。
悠仁は彼らを後ろから眺めていると、ふと口を開いた。

｢二人ってすげぇ仲良いんだね。付き合ってた？｣

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