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460:ギャルと勝ち目のない ページ10

なんだこいつ
なんなんだ…!!


目の前の男が緩慢な動きで、首の骨を鳴らす。
男は俺たちを見ていない。それなのに、それが目に見えて分かっているのに俺は動くことが出来なかった。

でも、Aさんを助けないと。
今この人を誰が助けられるんだ、俺しかいないだろ。

「…ッ」

地面に横たわり、金の髪を流水のように広げているAさん。顔は見えない。
だけど、片手で腹部を抑えて、傷の負った片手はだらりと力なく垂らされているから分かる。
Aさんは相当限界なんだ。

俺はAさんを横目で確認したあと、男へと今一度目を向けた。

家入さんの所に連れていかなきゃいけない。
だが、この男の隙を掻い潜って、ここからAさんを連れ出せるかと言われれば無理だ。
諦めが早い訳ではなく、本当にできない。


だから、俺が仕留めるしかない。


俺が。


「俺が...ッ」


じり、行き場を失った片足の下で小さな砂利が音を鳴らしたその時、Aさんから絞り出すような声が漏れ出た。

「行、くな...恵...ッ」

弾かれたようにAさんへと目を向ける。
金の髪の間から、Aさんの緑色の瞳が俺を見ていた。

「絶対、手、出すんじゃ...、ねぇ、」

Aさんの片手が地面へつく。
なんとか両手で踏ん張ろうとすると、貫かれた片腕から血がまた溢れて伝った。
金の髪が徐々に血溜まりに侵食されていく。
顔色が悪い。
それでも、Aさんは俺に「戦うな」と必死に言い聞かせた。

「絶対、に...ッ!」

「馬鹿なこと言わないでください...!さっきのこと忘れた訳じゃないですよね?アンタじゃ敵わない、分かるでしょ...!」

Aさんが漸く立ち上がる。
よろけて、最初に投げぶつけられた壁へと凭れかかってしまう。
そこにはコンクリートで塗り固められた壁なのに、見事にクレーターが生み出されていた。
それだけで相手の威力が分かる。

「アレは恐らく真希さんの完成系。目で追ったところで勝てる相手じゃないのも分かってます。だけど、それでも、今のアンタよりはマシだ...!俺にやらせてください...!!その隙に、家入さんの____、」


「駄目だッ!!!」


また俺の言葉を遮る。
頑なに譲ろうとしないAさん。
目前にはあの男が迫る。
勝ち筋が見える見えない以前に、力量の差を見せられてしまっているというのに、それでもAさんは俺を前線に立たせようとしない。


「...ッ」


アンタが俺にかけた“呪い”は、その程度なのかよ...!!

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プルメリア - ありがとうございます!頑張りますね! (2023年1月9日 7時) (レス) @page5 id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - プルメリアさん» 出来てますよ…!多分、宿儺のやつですかね…?まだ中身を確認していないので、あれですが投稿自体は出来てますよ…! (2023年1月8日 20時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - えっと、あの、忙しかったらいいです!ただ、きちんと投稿できているかだけ...お願いします... (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 私、試しに投稿してみたんですが...きちんと投稿できているか心配でして。少し確認してくれませんか? (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 本当に嬉しいです! (2023年1月8日 14時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2022年11月27日 22時

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